お題 落ちていく
落ちていく。落ちていく。
なんて書くと、有名なアニメの予告編みたくなっちゃう。
何に対して落ちていくんだろう?
いったいどこまで落ちるのか?
落ちた先にはなにがあるのか?
そして戻って来られるのだろうか?
そんな不毛な事を考えて、今夜もまた深い夜に落ちていく……
お題 夫婦
夫婦茶碗によそう炊きたての真っ白なご飯。ほんのり甘い香りがした。
あなたとわたし、口の中へとご飯を頬張りながら顔を見合わせた。
自然と笑顔が溢れた。
朝から始まる夫婦の儀式。
こうしていつまでも居たい。
お題 どうすればいいの?
今朝から大慌てで支度する。朝飯食べる余裕が無い。
そんな日に限って忘れ物。携帯忘れてライブ会場へ着く。
今時のチケットはスマホにダウンロードが主流だ。そのよりにもよって大事なスマホを家に置き去りしていたなんて。
いったい私はどうすればいいの?
お題 宝物
宝物。何を以って宝物とするだろう。人によりけりだなって思う。想い出の品だったり、大切な人や動植物だったり。
私の宝物は、人との縁だと思っている。
縁がなければ決して相手とは関わることが無い 。縁があるから、深く知り合える。
これほど大事な宝物はないと言い切れる。
これからも縁という宝物を大切にして生きていく。
いつか宙に還る時まで……
お題 キャンドル
聖夜の教会での礼拝。明かりを消してから始まるキャンドルサービス。揺らめく炎に照らされて浮かび上がる祭壇。厳かな空間。
私はそんな聖夜を迎えるのが好きだ。クリスマスデートなるモノなんて、いかがわしくて吐き気がする。
キリストの生誕を祝うのが、本来のあるべき姿だ。どんちゃん騒ぎや、ホテルに一泊なんてトンデモナイ。
なのにこの男はなにが目的か?
「君に見せたい物があるんだ。だからイブに一緒に付いて来てほしい」
「なに?礼拝に行くんだけど?」
「礼拝の後で……ね。どうしても付いて来てほしい」
礼拝の後で……に、何を企んでいるのか。つまらない内容なら即刻帰ってやる。
根負けした私は、仕方なく彼のお願いに付き合う事になった。
厳かな祈りの時を終えると、彼が教会へ車で迎えに来ていた。仕方なく助手席に座る。彼は運転席に乗り車を出した。
「いったいどこへ向かうの?」
「僕の実家になるかな」
と言うと、彼はそれ以上なにも言わない。私は疑りの眼を向けてから、暗がりの景色を睨みつけた。
「着いたよ」
そこは海沿いの崖っぷちだった。そこには、こじんまりとした教会が建っている。
「僕はこの海沿いの小さな教会で育ったんだ。中に入ってみよう」
扉を開けて中に入ってみると、奥に牧師らしき男性が佇んでいた。彼の話しでは、育ててくれた牧師なんだそうだ。炎が揺らめきながら、厳かな聖堂内を照らす。
ふと正面に、小さなパイプオルガンがあるのに気がついた。彼はオルガンの椅子に座って、賛美歌を弾き始めた。
彼の弾くオルガンの音色に惹きつけられた。こんなにも素晴らしい音を奏でる彼に、疑念を持っていた事を深く反省する。なんて馬鹿な私。こんな疑いの心を炎で焼いてほしい。そんな私の心を揺らめく炎は、そっと照らし出すのだった。