煌紅

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6/26/2025, 11:54:50 PM

午後11時、あの子からLINE
今日もいわゆる寝落ち電話に誘われる
うちはいいねんけど…生活音丸聞こえってそんな嬉しいんかな
学校で喋るときとは違う声にドキドキ
ふわふわしてちょっと呂律回ってなくて可愛い

いつも最後にあの子はこう言う
「おやすみ、いい夢が見られますように」
うちは心の中で願う
君が夢に出てきてくれますように

6/13/2025, 2:41:04 PM

 昼休みの中庭、自由の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。最近、ふと耳にする少女の鼻歌。チャイムの続きを歌っているようだ。小躍りしそうなテンポだったり、眠たそうな旋律だったり、たまに少し悲しそうに鼻を啜っていたり。
 
 案外、身近な人が歌ってたりするのかな。鼻歌の君なんて勝手にあだ名つけてしまった。名付けの才無いな。ここ最近の鼻歌の君は、鼻をよく啜りながら歌ってるから、もしかして花粉症だったり? 
 
 そんなことを考えながら、弁当箱を片付けて、保冷バッグにしまう。卒業するまでに見つけられるといいな。
「貴方の鼻歌のリスナーです!」なんて、まあまあ気持ち悪いかもね。

6/10/2025, 1:25:37 PM

美術館に貴方を見に行った。特別展示の企画展に貴方はいた。ガラス越しに佇む貴方の姿。ライトに照らされて、貴方は輝く。

拵も、組紐も、あの時代に貴方の為に作られたもの。あの日の彼の手に握られていたと思うと、感慨深い。
この傷はあの時の?など思いふける。専門用語はわからないし、どこを見ればいいのかもわからない。でも、貴方が美しいことはわかる。貴方の肌に私が反射していたら面白いな。

貴方に出会えてよかったと感じる企画展。少し足を伸ばして、あの旅籠があったところに行こうかな。

6/8/2025, 2:08:45 PM

昨日の帰り道、とっても寂しかった。
13:00から遊んで、カラオケをして、メイクしてもらって、プリクラとって…気づいたら23:00まわってた。
違う大学通うことになってるけど…また会いたいなー。
2人に選んでもらったメイク道具は大切に使うんだ!
7月もまたあそぼ!

貴女達と別れて向かう階段。通学で使っていたけど、いつもより段数が多いような気がした。

6/7/2025, 4:42:32 PM

 「ふふ、君の髪は手櫛が通りやすいな」

 なんて言ってくれるのだろうか。今はなんと言ってもらえるかを夢見る余裕がある。だがなぁ、奴に斬られたこの髪をみて、微笑む姿が想像できない。
 
 自慢の長髪。彼にといてもらう朝の時間が好きだった。微睡の中、優しく頭を撫でる手。毎日、この時間を楽しみに眠りにつくのだ。
 それが、なんで、なんで…。一瞬の隙をつかれた。バッサリと一振りで斬られた。パラパラと荒地に落ちる髪の束。彼が宝物のように手入れしてくれたこの髪を、なんで…。視界が滲むなか、奥歯を噛み締め敵を討つ。幸い、自分の体に大きな傷はなかった。心の傷は深いが…はは。

 彼の元へ帰るか…。真っ青になるだろうな。肩を痛いほど掴まれてさ。今から始まる絶望に足が重くなる。申し訳ないし、己が不甲斐ない。ああ、門が見えてきたな。月明かりに照らされる髪が好きだと言ってくれたことを思い出す。こんな日にちょうど満月とは皮肉だな。扉に手をかけ、少し深呼吸をする。なんで言ってくれるだろうか。

「…ただいま」





                    2025/06/08
              「夢見る少女のように」

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