煌紅

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7/20/2025, 3:07:17 PM

ボイラー室で振動が響く
僕の鼓動の裏拍を取るように
線路の高架下とは違った煩さ
和太鼓の音と違う体の中に響くのも
今を生きる僕と彼女の音

彼女の鼓動を止めないように
彼女の鼓動を
この部屋で
このレバーで
このボタンで
このスイッチで
コントロールする

滞りなくこの仕事を全うする
今を生きる僕にできることだ

7/17/2025, 3:34:01 PM

「なぁに、浮かない顔してるねぇ。
こーんなの端っこにいちゃ、アンタを見つけられないよ。次郎ちゃんが話きこーか?」
キャンパスの端の木陰で1人黄昏ていたら、頭の上から長い髪のカーテンがかかった。背中をバシバシ叩かれながら、隣に座ってきた。
「アタシにいってみなさいよ。ほーら。なに、気になっている人がいて、勇気を出してインスタ交換したら、パートナーがいたって?あー、それはドンマイさ。」
今にも涙が溢れそうな自分の目元をみて、両手で顔を挟んできた。何か思いついたのか、すくっと立ち上がり声高らかに、
「やっぱり気分転換にはお酒だよ!今から呑もうか。いいじゃん、こんな時こそ授業サボるべきよ。さぁいきましょー」と自分の腕を引っ張る。次郎におされるがまま大学を後にした。

7/8/2025, 2:26:19 PM

 貴方に会えたあの夏の薬師寺。
 御朱印をもらい、展示期間限定の倶利伽羅龍の背景に1人喜ぶ。ゲームて貴方と会って4ヶ月。本物の貴方に会える。せっかく薬師寺に来たのだから、国宝の仏像でも見ないかと連れに誘われるが、「貴方に会うこのワクワクを他の芸術品にむけたくない」という謎の意地で断る。
 貴方は展示会の最後、メインディッシュのようにガラスケースに佇む。扉の向こうから流れ出る日差しが後光のよう。どの角度から見ても貴方は輝いていた。貴方の匂い、目で覚えることができた。朝並んでいるときは大雨だったのに、会場を出ると雨は止んでいた。貴方と会えた祝福で晴れてくれたのかな?

 またこの景色に会える日は何年後でしょうか?

7/6/2025, 4:08:41 PM

エアコンの室外機があるグリーンマットが敷かれた小さな広場。うちは君とそこで寝っ転がることが好きだった。
昼休み、小学生皆んな運動場に行って遊ぶ。うちは高学年やから、ちっさい子と一緒に遊ぶっていう時間やってんけど…君と寝転んでゴロゴロするのが好きだった。空を見上げてさ、「あの雲何に見えるー?」とか言って、笑って喋ってたっけ。覚えてるかな。大きな瞳の君の目が合うたび、心がポカポカしてさ。あれが恋だったのかな?

今日は同窓会。あのお手紙机の中に入れてたの実はうちやねん。もし、覚えてたら…ほんま覚えてたらでいいからな?……紅葉の木の下で待ってるで。

6/30/2025, 3:54:35 PM

 あの先生の瞳はとても綺麗だ。
 先生に当てられるまでずーっと見てしまう。先生の当て方は寝ていたり、よそ見をしていたりする人を当てるのではなく、先生と目が合った人を当てていく。自分は授業中、板書は取るがそれ以外の時は先生の瞳を見つめている。そうだよね、当てられちゃうんだ。
 黒板から振り返って自分と目が合う。ちょっと笑ったあと、少し下を見て、また自分と目が合う。そして自分の名を呼ぶ。自分は少し気まずくて発表する前に言葉が詰まる。その繰り返し。
 先生の瞳の蒼に惹かれて。その瞳を追いかける。先生にみつめられ、熱を持った耳の赤に同級生は気づいているらしい。

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