煌紅

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 昼休みの中庭、自由の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。最近、ふと耳にする少女の鼻歌。チャイムの続きを歌っているようだ。小躍りしそうなテンポだったり、眠たそうな旋律だったり、たまに少し悲しそうに鼻を啜っていたり。
 
 案外、身近な人が歌ってたりするのかな。鼻歌の君なんて勝手にあだ名つけてしまった。名付けの才無いな。ここ最近の鼻歌の君は、鼻をよく啜りながら歌ってるから、もしかして花粉症だったり? 
 
 そんなことを考えながら、弁当箱を片付けて、保冷バッグにしまう。卒業するまでに見つけられるといいな。
「貴方の鼻歌のリスナーです!」なんて、まあまあ気持ち悪いかもね。

6/13/2025, 2:41:04 PM