ぼくは子供のままでいたかったんだ。
難しいことは深く考えないで、
気に食わなかったら駄々をこねて、
嫌な事があれば泣き叫べるんだ。
自分に正直に生きられる子供のままで、
感情の起伏が激しくも無邪気なままで、
周りに素直に助けを求められるままで、いたかったな。
大人にならないといけないんだよ。
僕はもう大人になってしまったよ。
自分を殺して、周りの為に動き、
誰にも頼れない孤独な人間になってしまった。
常に愛想笑いを浮かべ、他人を過度に気遣い、
いつの間にか喜怒哀楽が壊れてしまっていた。
私はいつから、泣けなくなったのだろうか。
人目も気にせず、花に囲まれた君に向かって愛を叫ぶ。
大好きだ。大好きなんだ。愛しているよ。
知っている愛言葉を、これでもかと。
今まで言えなかった分、全て出し切ろうと。
煙で喉が痛んだって叫び続ける。
君に届くように。灰になる前に。
過去形になんてしてやらないよ。
棺に入った君も、愛してるから。
私の初恋とは、視界が悪く霧がかった日に出逢った。
歩き慣れた道を、人だかりが塞いでいて。
響き渡る怒号。甲高い悲鳴。遠くからはサイレンの音。
まるで異世界かのような光景は、
場違いにも私の胸を高鳴らせた。
人混みをかき分けると、小さな交差点。
大きなトラックの下には真新しい血痕。
視線を下に移すと、そこには人がいた。
未だ出ている血。折れ曲がった手足。
赤黒い血肉から見える真っ白な骨に、
私は思わず見蕩れてしまった。
あの白い輝きを今でも忘れられなくて。
きっとあれが私の初恋。
悲痛な事故が起こった、私の初恋の日。
明日世界が終わるなら、貴方を殺しに行きましょう。
貴方を嫌っている訳では無い、恨んでいる訳でも無い。
ただ、愛しているから。
世界が終わる理由はなんであれ、
私以外に貴方が殺されるなんて考えたくもないのです。
貴方の鼓動を最期まで聞き、
貴方の首に手をかけるまで、
貴方の死に様を見送るまで、
私は死んでも死にきれない。
欲を言えば、私も貴方に殺して欲しいのだけれど。
貴方は私の首に手を添えてはくれないだろうから。
世界の結末を、死体の貴方と迎えるのも悪くない。
君と出逢って、どうやら僕はおかしくなってしまった。
いつの間にか君を目で追ってしまうし、
気が付けば君の事で頭がいっぱいになる。
こんなこと今までになかったのに。
君と目が合う度に、胸が高鳴ってしまうんだ。
そのうち、目が合うだけじゃ物足りなくて。
話したい、手を繋ぎたい、体を貪りたい。
初めての衝動。過激な肉欲。
理性の敗北。本能の目覚め。
自分が自分でない気がした。
それなのに、何よりも自分らしいと感じた。
僕の性なのかな。君を求めてしまうのは。
君の所為なんだ。僕が狂ってしまったのは。