『ね、もし世界が終わるならその時は君と手を繋いで朝日を見るんだ。』
なんて言ってた君は、世界が終わる前にいなくなってしまって。今、世界の終わりに付き合っている僕はたった一人だ。
嘘付き。僕と朝日を見てくれるんじゃなかったのかよ。朝日を探しに行こうよ。
一緒に朝日を見たかった。世界の終わりに君と。
#世界の終わりに君と
はぁ、ついに居合わせた。
部屋中に響く甘い声。
よし、リビングで終わるのを待っててやろう。
そう思い立ってから早3時間。
若い方はお盛んなのね。
もう、最悪。
#最悪
「今日もありがと、じゃ、また来週。」
いつものように欲を吐き出して直ぐに帰る。
僕には待ってる愛おしい人が居るから。
愛しているからこそ、大切にしたい。
僕が手を出して縛りたく無い。そんな気持ちで他の女にこの行き場のない欲を吐き出し始めてもう2年が経つ。
そして、今日もまた。繰り返す。
“朔さんも酷い人ですね。奥さんいるんでしょう?浮気されて私ばかりこうやって愛されちゃうの、知ったら悲しむだろうなぁ笑”
は?何言ってるんだ。これは浮気じゃない。
隠れてしてはいるが、彼女を大切にしたいからやってるんだ。誰にも言えない事でも良い。
こんなの愛情の塊じゃないか。
絶対に、ばれることも無い。この努力は僕だけが知っていたらいいんだ。
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いつまで続くだろうか。彼の正当化された浮気は。
本気でばれないと思ってるなんて。哀れな人ね。
#誰にも言えない秘密
暗い。狭い。息苦しい。
ここはどこ。今は朝?昼?夜?もう分からない。
ここに入れられてからどれくらい経った?
たまに投げ入れられる残飯。私の存在は家畜以下、そういう事か。
時たま様子を見に来る女の人。私の弱った姿を見て満足そうに去っていく。
私をこんなにした張本人。
あれ、どうしてここにいるんだっけ。
あぁ、そうだ。新しく来たお嫁さんに嵌められたんだっけ。私は言いつけ通りに小さい時から御主人様の番犬やってたのになぁ。
御主人様も助けには来てくれないよね。あんなにお嫁さんの言ってた事信じ切ってたし。全部嘘なのになぁ。
18年の忠誠と絆より、3ヶ月の婚約者だったのね。
嫌いだ。何もかも。消えてしまえばいい。
許さない。主人も、女も、当主も、世界も。
次に生まれ変わったら、また私になろう。
そして何もかも、ぶっ壊してやろう。
まずは女を消して、主人の寝首を搔いてやろう。
眠くなってきたなぁ。ここで寝たら終わりか。
まぁ、いいや。どーせ転生とか出来ないしなぁ。
また何処かで。次は私が愛される世界で。静かに生きたいな。
サ ヨ ナ ラ .
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『起きて、番犬。朝だよ。今日は寝坊じゃん、どうしたの。』
「ん、おはようございます。御主人様。」
見慣れた2畳半の狭い部屋。でも暗くて狭くない。
あーぁ、転生成功しちゃった笑
#狭い部屋
『また振られちゃったわ~。』
“え~、また~?”
「今回はちょっと長かったね。」
『長かったって言うけどさ~、暁、失恋は愚か付き合った人もいないじゃん笑』
「そ~だね~。」
何度目だろうか。この子の話を聞くのは。そしてこの子は知らない。
私の青春の1ページを。
あの痺れるような甘い恋を。
知っていたとしても、あんたに語らせてたまるもんか。あれは、あの恋は、私だけのもの。
#失恋