Uruɞ

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6/2/2023, 12:45:39 PM

“ 正直に生きましょう。”


“ 正直になりましょう。”


“ 正直でいる事を疑ってはいけません。”


“ それを続ければ、きっと教祖様が救って下さいますよ。”




狂ってる。このよく分からない宗教も、それに心酔する両親も。此処に連れてこられて、座敷に1人座らされている私も。

1人、また1人と増えていく信者達。

私の前で頭を垂れる。私は扇を口元に当てて冷たい視線で見下ろす。私の仕事。存在意義。

何を言おう教祖様とやらは私だ。
純日本人の癖に持って生まれた赤い目。親は私をお金目当てとして使う。私にはなんの力もないのに。

正直をモットーにしている癖に、今日もまた、力も無いのに、教祖として、嘘で作られた宗教の中で、静かに息をする。


#正直

6/1/2023, 2:18:49 PM

雨が降る。季節が巡る。あの頃を思い出す。

少し大きなセーラー服に身を包んだあの頃を。


君の学ラン姿が好きだった。進学してブレザーになった時、いつもと違うむず痒さに少し浮き足立った。

好きだと。一言。喉からつっかえて出てこない。

私がうじうじしている間に。君はふわふわした可愛い女の子と幸せそうに笑ってた。

紹介してくれてどうもありがとう。
そっかぁ、君は背が低くて胸が大きくてふわふわした、私と正反対の子が好きだったのね。

心の雨を洗い流すかの様に。雨が降る。
梅雨は好きでは無い。髪が言う事を聞かないから。でも今は、私の心も言う事を聞かない。

また巡る。巡り巡って季節が変わる。

左手に光る指輪に触れ、梅雨に出会った貴方のお陰で、今度は、梅雨を好きになる。

#梅雨

5/31/2023, 12:26:27 PM

~~~~になるでしょう。お出かけの際には傘を持って―。


『今日途中から雨だってさ。宵君の折りたたみ傘探してくるね。』

「ぁ、ほんとに?ありがと。」


──────────

「じゃ、いってきます。今日は定時で帰ってくるね。」

『うん、ご馳走作って待ってるね。』

いつものようにキスをしてハグをしてお互いを確かめ合って家を出る。

『宵君!!傘忘れてるy 』

< ドンッ.ᐟ.ᐟ.ᐟ.ᐟ.ᐟ キィィィッ.ᐟ.ᐟ.ᐟ.ᐟ ガシャン.ᐟ.ᐟ.ᐟ.ᐟ.ᐟ>


「ぇ、?」


流れる血。零れる汗。染まるアスファルト。逃げる車。電話する声。好奇の目。野次馬のカメラ。


ただ。ただ、そこに立っていた。何も考えられず。さっき確かめ合った感触はまだ残っていて。手を伸ばせば触れられそうな距離に、ピクリとも動かない君。また同様少しも動けない、僕。

足が動く。血だらけの君を抱き締める。


冷たい。


「そういえば、お姫様はキスをすれば目覚めるんだっけ。」なんて考えながら、

キスをする。

起きない。冷たい。脱力しきった体。僕の愛おしい、君。動かない。なぜ。おかしい。

起きろ。起きろ。起きろ。起きろ。起きろ。

──────────


目が覚める。

隣には暖かな、君。

あぁ、夢か。良かった。安堵する。


「おはよ。」

眠そうにまぶたを擦り、テレビをつける愛おしい君。

『今日途中から雨だってさ。~~~~。』


ぇ?

待ってくれ。どういうことだ。やめてくれ。頼む。何が起こってる?

お願いだ。夢だと言ってくれ。君は生きていると。もう一度この腕に抱けると。

『宵君の折りたたみ傘探してくるね。』


やめてくれ。天気の話なんてどうだっていいんだ。僕が話したいことは、




#天気の話なんてどうだっていいんだ。僕が話したいことは、

5/30/2023, 2:02:06 PM

走る。走る。走る。走る。

なぜ走る?何に追われている?
私には、何が見えている?


可笑しい。可笑しい。可笑しい。可笑しい。

なぜ可笑しい?何が可笑しい?
本当に、可笑しい?


疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。

なぜ疲れた?何に疲れた?
どうして疲れている?


走らなければ。兎に角。
怪しまなければ。全てを。
感じてはいけない。何も。


あれ、私って、何だっケ。


< ク ヒ ッ >



#ただ、必死に走る私。何かから逃げるように。

5/29/2023, 12:36:59 PM

眉を8の字にして、少し困ったように言うその「ごめんね。」程薄っぺらいものはなかったように思う。

貴方の何度目かの夜遊び。
いや、10回目かな?10回記念じゃん、おめでとう笑
いつもはへらへら謝っていた癖に、その時はそんな顔をして謝るから。

『あぁ、やっと改心したんだ。』

そう思った。

なのに。その日から何をしてもそうやって謝るの。味を占めたのかしら。

他の女に私のナカに入れたものを突っ込んでるって考えただけで吐き気がした。その日から貴方が気持ち悪くなった。

何度目か分からない薄っぺらい「ごめんね。」
いや、確かあの日からだから7回目かな。

「ごめんね。」

あぁ、五月蝿い煩いうるさい。
その後ろの女は誰。どうして裸なの。さっき聞こえた甘い声は何。責め立てたいことは沢山あるけど。

『離婚しましょう。』

出ていこうとした。いや、ここは私のマンションだ。
寝室に押し入る。シーツごと散らばった服を一緒くたにして女に押し付ける。

無駄に胸が大きくてメイクが濃い背の低い女。私と正反対。穢らわしい。

貴方を1度引っぱたいて。指輪を投げ捨てて。

『出ていって。二度と来ないで。あなたの私物は後日あなたの実家に離婚届と共に送るから。』

「ごめんね。」

あぁ、今回はへらへらと謝るのか。


#ごめんね

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