Uruɞ

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~~~~になるでしょう。お出かけの際には傘を持って―。


『今日途中から雨だってさ。宵君の折りたたみ傘探してくるね。』

「ぁ、ほんとに?ありがと。」


──────────

「じゃ、いってきます。今日は定時で帰ってくるね。」

『うん、ご馳走作って待ってるね。』

いつものようにキスをしてハグをしてお互いを確かめ合って家を出る。

『宵君!!傘忘れてるy 』

< ドンッ.ᐟ.ᐟ.ᐟ.ᐟ.ᐟ キィィィッ.ᐟ.ᐟ.ᐟ.ᐟ ガシャン.ᐟ.ᐟ.ᐟ.ᐟ.ᐟ>


「ぇ、?」


流れる血。零れる汗。染まるアスファルト。逃げる車。電話する声。好奇の目。野次馬のカメラ。


ただ。ただ、そこに立っていた。何も考えられず。さっき確かめ合った感触はまだ残っていて。手を伸ばせば触れられそうな距離に、ピクリとも動かない君。また同様少しも動けない、僕。

足が動く。血だらけの君を抱き締める。


冷たい。


「そういえば、お姫様はキスをすれば目覚めるんだっけ。」なんて考えながら、

キスをする。

起きない。冷たい。脱力しきった体。僕の愛おしい、君。動かない。なぜ。おかしい。

起きろ。起きろ。起きろ。起きろ。起きろ。

──────────


目が覚める。

隣には暖かな、君。

あぁ、夢か。良かった。安堵する。


「おはよ。」

眠そうにまぶたを擦り、テレビをつける愛おしい君。

『今日途中から雨だってさ。~~~~。』


ぇ?

待ってくれ。どういうことだ。やめてくれ。頼む。何が起こってる?

お願いだ。夢だと言ってくれ。君は生きていると。もう一度この腕に抱けると。

『宵君の折りたたみ傘探してくるね。』


やめてくれ。天気の話なんてどうだっていいんだ。僕が話したいことは、




#天気の話なんてどうだっていいんだ。僕が話したいことは、

5/31/2023, 12:26:27 PM