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9/22/2024, 10:30:59 PM

声が聞こえる


私にはたくさんの声が聞こえる。
それは人の声だけじゃない。

鳥の声、リスの声、ましてや木の声、草木の声……その全ての者の声が聞こえる。
今日のみんなはどこか疲れているような声が聞こえる。今にも押しつぶされそうなほど苦しそうな声。私はそんな時みんなに歌をきかせる。神話に出てくる女神のように、優しくそして優雅に。
そうすると騒々しい草木や動物たちが死んだように眠りにつく。
その寝息はとても穏やかだ。
私はあの明るく万人に愛される彼女とは違い、時には嫌われ時には好かれる。そんな存在だ。
だからせめて嫌われていようが好かれていようが全てのものがこころ落ち着く存在になりたい。


今日もたくさんの声が聞こえる。
,,夜にならないで,,そんな声、どこか悲しそうだけれど、何故だろうか、少し嬉しそうにも感じるのは。

9/22/2024, 4:00:08 AM

秋恋


私の名前は楓、生まれた日も10月まさに秋の女。
けど私が生まれたのは草木も山もない都会だ、だから私は紅葉を見た事がない。旅行にでも出かければいいけど親が年中無休で忙しいから行けない。せっかく名前が楓なのに紅葉を見た事ないのはものすごく損してると思う。そして、ある日学校の校外学習で京都に行くことになった。私にチャンスが舞い込んできた。京都、まさに紅葉の映える名所が山ほどある。この気を逃しては行けない。
――――しかし私は運悪く熱を出してしまった。
けど私は諦めが悪かった。熱が出ても行こうとした、ら両親にバレた。そのままベッドで寝かされた私は涙を流していた。両親は校外学習に行けないことを悲しんでいると思っている。でも違うの、私の名前は楓で生まれ月も10月で秋、それなのに、それなのに……私は紅葉を見たことがないんだよ。と泣きながら訴えると両親はびっくりした顔をしたかと思えば、2人は顔を見合せたあとそれじゃあ旅行に行こうと優しい笑顔で私の頭を撫でてくれた。そして土日に両親は土日に休みをとることにした。
父の運転で京都に向かった。着いたのは夜だった。
見えないかなと思っていると。スポットになっている所はオシャレに明かりが照らされていた。顔を上げた時、私の目に飛び込んできたのは幻想的な紅葉だった。その瞬間心がはねた。その後もドキドキした。こんな経験は初めてだった。私の名前の楓がこんなに綺麗だったなんて。まるで初恋の時と同じような感覚がした。
―――私は楓に恋をした。

9/20/2024, 11:14:04 PM

大事にしたい


僕は今までだれかに愛された事がなかった。両親にも友達にもましてや恋人なんて居なかった。だから愛とは一体なんなのかがわからない。どういう気持ちになるのか。そしてそんな僕に今日好きだと言ってくれた人がいた。僕は試しに付き合ってみることにした。その後も彼女は僕に愛を伝えてくれた。僕からは伝えることは無かった。ある日彼女部屋でデートをしているとしたからガラスの割れる音がした。僕が急いで行ってみると彼女は父親らしい男に襲われていた。僕は勇気をだして助けた。案の定ものすごく殴られた。僕は彼女の手を引いて家を出た。出たあと、彼女の方を見ると彼女の目から大きな雫が落ちていた。……無理もない殴られそうになった挙句優しい彼女なら自分のせいで他人が殴られたなんて辛いこと極まりないだろ。そんな彼女に少し親近感が湧いたのか、僕は彼女にこれまでのことを話した。彼女は最初は驚いた。その後大粒の雫をボロボロ零しながら笑った。どういう気持ちなんだろ。けれど、その表情に僕はどこか嬉しくなった。彼女はこれから一緒に愛をみつけようと言ってくれた。彼女はどこまでも優しかった。愛はまだを分からないけど、それを一緒にみつけようとしてくれる彼女を僕は大事にしたい、守っていきたい。

9/19/2024, 11:04:12 AM

時間よ止まれ


お願い止まって
まずいんだ。今月中に提出しないといけないものが山ほどあるのにもう1週間もない。
このままじゃ提出できずに叱られてしまう。
なんでも言うこと聞くから
なんでもあげっから。
止まってくれぇぇぇ

そんな切実な願いが届くはずもなく僕は虚しくも今月の最終日に来てしまった。



――――クソッタレ

9/18/2024, 2:07:36 PM

夜景


たまたま生徒会の仕事が進まず、終わったのが6時だった。
夏ならまだ明るい時間だが、冬なのでもうすっかり暗くなっていた。
先生が送ってくれると言うので、少し待っていることにした。
不意に窓の外を見る。
私は目を見開いた。なぜなら、あまりにも綺麗だったから。夜の学校、満月の光、街の灯り、これほどロマンチックな景色は無いと思った。それ以上に私は驚いていた。学校でこれほどまでに綺麗な夜景を見ることができるとは思っていなかったから。学校はどうやっても映えないことが多い、映えるところもあるけれどやはり私の目には映えるものには見えなかったのだ、がその考えがこの夜景を見て一瞬にして消え去った。
この景色を目に焼き付けんばかりに見ていると、遠くの方から先生の呼ぶ声が聞こえてきた。その声にハッとして、私は小走りで廊下を進んだ。

―また、見れたらいいな

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