【スリル】
「このスリルが好きなんだよね!よっと」
そういう君はフェンスの向こう側の足場に座る
「落ちても知らないよ」
「平気平気私ってバランス感覚あるし余裕〜」
活発な性格の君はよく体に傷をつくっていた
大人しくしていればいいのに変に頭が回る君
そんな所も好きなんだけどね私も変わり者だな(笑)
ザワザワ
ヤバくない どうしてッ! ぅわ
(なんか騒いでるな何かあんの)
そこには真っ赤に染まる君がいた
足を滑らして転落したらしい
(ざまぁないね...)
手には私とオソロで買ったキーホルダー
そのキーホルダーは落ちた衝撃で壊れてしまっていた
大人しくしていればこうなることもなかったはず
君のその正義感は人を刺激するから
こうなるんだよ
【飛べない翼】
私は他の人と違った翼を持って生まれた
そのせいか皆私を好奇の目で私を見る
その視線が嫌で私はいつも閉じこもってばかりだった
怖くて仕方なかった石を投げられるんじゃないか
陰口に押し潰されてしまうかもしれない
そんな事が頭の中をぐちゃぐちゃにしていった
(いっそ、こんな翼などなくなってしまえばいいのに)
私は自ら翼をもいでしまった
羽は紅く ては血で染まってしまった
もうこの翼じゃ空も飛べないかな
それすらとどうでもいいと思ってしまうほど
私は堕ちてしまった
ガシャン
振り返ると人がいた
カゴを落としてしまったようだったので
拾い上げて渡してあげ
「どうして!!なんで...翼は..どうした」
あぁせっかく集めたカゴの中身はまた床に散らばった
「早く治療しないと空を飛べなくな...」
私と目が合った瞬間 何を思ったのか私の頬に手を当て
「答えてくれよ...どうした誰にやられたんだ」
何をこの人は泣いて私を咎めるのだろう
<私は自分の意思で「痛かっただろう...辛かったよな」
ごめんと私を抱きとめた
なんでこの人は私の事をこんなにも想ってくれるのか
泣いてまで私を慰めてくれるの
「気づいてあげられなくてごめんな」
この言葉に私は何も言えなかった
ただ嗚咽が部屋の中に響いている
どちらの声か分からない
その後は私とこの人しか知らない物語だ
【脳裏】
私はMBTI診断をやってみたところENFPだった
まぁ性格は診断通りで見てもらったらわかると思う
私は実際に友達も多いし言っちゃえば結構モテる
皆、私を「優しい」「親切」「可愛い」「器用」
「悩みなさそう!!」「モテるね」「裏表ない」
言ってくれるのは嬉しいことだ
だけど裏腹に私は良くないように思ってしまう
私が優しいのは人に好かれたいから
私が親切なのは自分の株をあげるため
私とて悩みはある
私は裏表がないのではなくて興味が無いだけ
どうせ10年もしないうちに縁が切れるなら
はなから期待などしても無駄である
ある人は言った
歳の割に大人びているだとか、他の子とは違う
まるで子供の姿をした大人だと
(何を知らないくせに私を語るなこの〇〇〇〇)
【柔らかい雨】
私が泣くと雨が降った
まるで私を慰めるかのように
冷たい中にある柔らかいもの
それをなんと表すか私には分からないけれど
きっと良いものなんだよね
ありがとう私の為に泣いてくれるのね
【懐かしく思うこと】
夢で見た物語
遥か昔、人や動物をいない古来の土地に神様がいた
私もそこに住んでいた
ある時、私は龍の卵を拾った
神様達は私にその卵を孵してみてはどうかと言うので
私は愛情をたっぷり注いで卵を孵した
黒竜だった、漆黒の鱗に青い目をした可愛い子
その子と共に私は神様たちの会議に出た
神様達はこの土地を分担して豊かにする計画を立てて
いたその時のこと
突然雲行きが怪しくなって辺りに漂う不穏な空気
私もただならぬ雰囲気に戸惑いを隠せない
急に狼の神様が私を覆った腕には黒竜を抱いて
神様は散り散りに姿を消した
「まずい!祠が壊れたらしい!!」
話を聞くと神様たちの中に昔もう1人の神様がいたそう
その神は規律を乱し、掟を破って仲間を陥れた...と
やむ得ず皆で祠に封印したそうな
それが何かしらの形で壊れて黒龍が出てきてしまった
この子を守らないと!!私はそう思って大事に抱き抱える
私の目の前に現れた漆黒の鱗を持つ龍
<ほぉ?我が同胞を抱えるお主は巫女か...なんとまぁ美味そうなおなごよのぅ>狼の神は失笑した
「何を言っておる、このおなごは神なるぞ頭が高い」
狼の神は私に
「私が時間を稼ぐ、早く社まで逃げるのじゃそこなら...こやつも入ってはくるまい早く行け!!」
私は黒竜を抱いて急いで社に隠れた
この子は不安げに首を傾げる
[大丈夫よ、私があなたを守るもの]
そので夢を終わった
信じられないだろうか
それでもいいこの物語を知って欲しい