伊藤透雪

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2/2/2026, 2:23:51 AM

ブランコ/揺れる


漕いで漕いで空高く。

妹がきゃあきゃあ言っている
仲良しだった幼い日々

お父さんと喧嘩して
飛び出してきた
公園のブランコだけが
迷う私を肯定するようだ
お父さんの言うことと
自分の渇望で揺れ動くのを
揺らすだけでも肯定してくれるみたい

結局決めるのは私で
後悔も受け止めるのも自分
お父さんのせいじゃない
会いたい、と思ったり
今は会ったらダメだ、と
頑固に優柔不断が染みる

結婚相手も自分で選んで
紹介すると難しい顔をする
お父さん
二人で頑張るよ、と言って
彼と結婚した
子どもが出来て
お父さんが笑顔になった

慌ただしく過ぎた日々
子育てに一喜一憂、
夫婦で生活が変わっていく
背と背の日常が
二人違っていく
そして二人きりになった

頑固と一喜一憂の染みが
割れ目を黒く塗りつぶす
変わらないと感じる日常に
ゆらゆら揺れる気持ち

別れを言わない代わりに
静けさで寂しくなった
そして一人分のコーヒーを淹れた

2/1/2026, 4:28:53 AM

旅路の果てに/人の中で


家族の中に僕は生まれた
おばあちゃんがやってくる
村のおじさん、おばさん
おはよう、お帰り、こんばんは
心通う中で始まった世界

草むらに生えている野菊
蒲公英
塀に這わせたグースベリー
川の側には山葡萄
一人でも寂しくなかった

学校に降りていく坂道
夕方鳴っているサイレンの音
友達とさよならして帰る坂
ーー

都会の世界で暮らす頃
知らない人の中で
歩いて生きて
僕は毎日が燻っていて
クリアにならない空気に
気づかないまま
重くなる背中
躓きやすい足で
懸命にあがいた
ーー

ふと思い出すことは
たくさんの人の中で
一喜一憂していた
ようやく落ち着いた今
遠い昔が霞む目で
のんびり詩など書いている

1/31/2026, 4:23:27 AM

あなたに届けたい/母へ


お母さん、お誕生日おめでとう!

月一回くらいの電話で。
ちょっぴり困惑したような
ありがとうね、と一言。

それよりあんた、ちゃんとやってるの?

ああ、母よたまには小言を辞めてくれ。

大丈夫、ちゃんとやってるよ
もう若いわけじゃないんだから、と
言ってから苦笑した。
後期高齢者の母に今もいつも通り
挨拶みたい

1/30/2026, 2:15:54 AM

I love.../ふわふわの君が好き


君が好きだよ

俯いてるとき
頭を撫でると
肩に首を掛けるようにして
甘えてくる君を抱きしめたら
柔らかい君が愛しい

僕は肯定する
たくさんの美徳があることを
生きていてくれる君がどれだけ
尊いかを何度だって言える
嘘じゃないんだ

笑顔の日は遊んで転がって
大声で笑うんだ
一緒は何より嬉しいね

僕は愛されていると思っているよ
笑顔で話したり
僕が辛いときは側にいてくれる
ぴったりとくっついて
ふわふわの体が温かい
それが何より慰められるよ

1/29/2026, 8:29:53 AM

街へ/光の指す街へ


黒雲が開いた
その切れ間に日がさして
輝き始めたら
歩き始めよう

一歩を大切に
焦らないで行こう
光の指す街へ

押し込めた塊が
いつまでも溶けず
両腕が痛くなっても
抱えたままでいた

その塊を少しずつ端から
削るのは
鳥の目で見ること
そうじゃないよ、と言って
否定の指を下げること

自分の機嫌は自分で直す、って
誰かが言ってた


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