20歳/若い日々
新人のとき
心が乾き砂に滴るような
雫が集まって流れになるまで
たくさんの雨を必要とした
曇る日もあり晴れる日もあり
先輩たちの励ましと
同期との賑わいが
二十歳の日を通り過ぎた
二十歳とは
若さという強さと傲慢
弱いもの知らずな手足
分け入る社会の激しい海
で漁をする若者の一人として
賢明に手足を頭を動かす時
もがく日々だった
失敗して落ち込んで、たくさん
酒を飲んだ
愚痴る相手がなくても
酷く疲れても
ひと眠りできれば何とか
苦しい暗い道に迷い込んだとき
起き上がれないとき
支えてくれた仲間もまた
かつて若かった苦しみを
知っている先輩たちだった
三日月/月と酒
夕暮れの陽が彼方に逝く前
三日月が残光を受けて残酷な目
で看取る
寒さが背筋を通って
両手の隙間から息が漏れるから
今夜は酒でも飲もう
暖かい部屋から窓越しに
月と酒を交わす
熱燗と湯豆腐で温める懐に
肴が落ちていくとき
彼は少しずつ上っていく
ほろ酔いのまま上る景色はどうだい
俺はまだ飲み足りないようだ
尤も明日は休日だから
炬燵に移って飲むのも良い
ひとり酒だ、誰に何を言われるでもなし
色とりどり/色打掛
娘が選んだ打掛は咲き乱れる花
華やかな柄があの子らしくて
笑顔で振り向いた姿にふっと笑う
似合うわよ。
結婚するから、挨拶行くねと
LINEしてきて電話した日
も突然で叱る間もなく
その彼と会った日も
嬉しそうに笑む顔
若さ輝くよう
そんな年になったのね。
子どもってずっと大きくならないで
側にいると思い込んでたら
子どもらしい笑顔から少し
大人の匂いがして
とうとう嫁いでいく
色とりどりの花を纏って
大人の顔で結婚するのね
本当に私の娘かしら
あっという間に寂しい気持ち
嬉しい筈なのに泣いてしまいそう
雪/夕べ
寒さが強い夕べ
薄曇りの空から雪が降りてきた
底冷えする足元に落ち
風に吹かれて溶けてしまう
暖かい家も家庭もない身には
胸までもじわりと冷えて
両手をポケットに突っ込んで
どうしても下を向いてしまうよ
雪国より胸の中は冷えてたまらない
君と一緒に/ 二人の舞台
舞台に立ち君の手を差し出す一瞬
背中に電流が走った
スイッチが入ったのだ
楽団が刻む音色に息が混じる
靴音高く、重ね握る手に軽やかなリズム
を乗せて
他の踊り手にぶつからぬスレスレ
君を抱き寄せ歩調を合わせる
舞踏は汗が流れ落ちるほど激しさを増し
、
君が美しくピボットを打つ
胸を弾ませ合わせてクニータ
ガンチョで絡まる脚
頭の中は空っぽにして踊ろう
君の笑顔が見たい
僕たちのありったけの舞い
舞台は拍手に包まれる
踊り終えて抱き合った熱い体と君の笑顔
が今日のご褒美だよ