伊藤透雪

Open App
12/31/2025, 11:03:28 AM

良いお年を


SNSで交わす大晦日
良いお年を

何回も投稿しない、
対面でない

それでも書く習慣。

今年1年ありがとうございました
良いお年をお迎え下さい
来年もよろしくお願いいたします

日本中で投稿されるのは習慣か

社会に繋がる窓枠に
必死に掴まる悲鳴のような

12/31/2025, 4:29:31 AM

星に包まれて


学校帰りの夕暮れに
お寺で習う習字の日
先生が厳しくて今日は
ずいぶん遅くまで終わらなかった
田舎道は暗く点々と街灯が灯るのみ
家路へ道は登り坂
いつもは気に留めない
麓の馬頭観音
が小さな灯りで照らされて浮かんで見える
ゾッとした私は走り出した

坂道を逃げる

坂の上の灯りまで
胸も横腹も痛い
家までもう少しだ

坂の上は星でいっぱい
天の川が流れ落ち
息切れた私の胸もいっぱい
山に包まれた里の空は星で包まれて
家々の灯りさえ星に混じっている

*
ただいま

おかえり。

12/30/2025, 5:10:05 AM

静かな終わり


お互いの目が合った
久々の仲間とパーティで
冗談に笑っていたとき
食事をし再び杯が上がったとき
さざめく人々の向こう
と何度も目に入る目

解散のそぞろ歩き、またねと呼ぶ声
駅へ向かう私の後ろから足音高い人
並んだ時に彼だと分かった

「たくさん目が合ったね」
「ちょっと話さないか」

こっちをしっかり見る目が光っている
いつの間にかワクワクしだして
そうね、と口から出たあと
派手なライトが光る街で
手を繋ぐでもなく歩く
*
彼の胸を撫でながら
いつから、いつまで、訊く事は
天井のライトに滲み
やがて駆け上がる血液、弾む身体
荒いため息の後
に仰向けで衝動のあとをなぞる
口づけひとつ
ふたつ、みっつ
その後を思い返すほど長くはない

後向きでストッキングを履く時に
背中に掛かる声が甘い
ここから始まる恋が
長く続くと思うほど若くはない
明日ではないけれど
静かに去っていくひとが浮かぶ
でも

素敵だ、のひと言に
今は夢中になっていたい



12/29/2025, 7:25:04 AM

心の旅路


私はできる。
やる事がいっぱいあって、
全然眠くない。
夢中に無心にやっていこう。
何だか心が元気に満ちあふれてる
楽しい毎日。

今日も明日も
昨日より今が一番大切なの
何がいけないの、
ちゃんとやってるじゃない!!

あれもこれもいつも
出来ていた筈なのに
何故出来なくなってるの
私ってこんなにできなかったっけ。
眠くてだるくて力が抜けてく
今はできないの、
昨日もできなかった。

*

できなくなって何年経っただろう
まだ寝付きは悪いし
ずっと薬は要るし
人生真っ逆さま
出来ていたあの頃と正反対の
日常はこんなにも無愛想
生きている、が薄く張り付いていて
自分を抱きしめても
今しか分からない
昨日のことも明日のことも
陰っていて見えない



12/28/2025, 5:06:43 AM

凍てつく鏡


凍りついた世界の
森は木々が白く包まれ
白銀には獣の足跡が見えているのみ
大きな角を持ち逞しい体躯の大鹿
がゆっくりと歩いている

かんじきを踏みしめ新雪を進んでいくと
目の前で大きく跳ねた大鹿に驚いた先
には大きく開けた静かな空が見え

風が吹いてめくれた雪の下
足元が固いのに気づいて見ると
ブラックアイスバーンだ
沼もチリチリと凍ったのだろう
私の影が映り込む
映る空の色も青く輝いて
凍る世界に光を反射している

頭を上げれば向こう岸に
白樺と松の森が見えた
みっしりと高く伸びている木々
が行き止まりの暗がりを成している
沼の雪が吹かれ、
表面は空の色を映していて綺麗だ
罠を見回るのもひと休みして
背嚢からスキットルのウィスキー
を取り出し一口含む

獲物もよく捕れた
今日は気分が晴れやかだ

Next