時間よ止まれ
君がくれたチョコレートはカバンの中。
バレンタインに「勉強の休み時間にでも食べて。」
授業終わりにこっそりくれたチョコレート。
俺が食べた事ないような高そうなやつ。
俺ん家、貧乏だから公立しか無理って言われてるし、
中学の制服も近所の兄ちゃんのお下がりだし、アパートだし。
貧乏は嫌だ。
ただそれだけで、何をしていいかわからなくてがむしゃらに勉強してきた。
私立の合格はもらえたけれど、通わせてもらえないから嬉しくもない。
あと少し、高校生になったらバイトだってできるし、奨学金借りて大学行けば貧乏な暮らしじゃなくなるよな?
君がくれたチョコレートだって、自分で買えるようになるよ。
さぁ、詰め込んだ知識の放出だ。
「はじめ」
の声と同時にカリカリと皆がペンを走らせる音がする。
俺も負けじとペンを走らせる。
残り15分。
見直しの時間だ。
途端に不安が押し寄せる。この紙切れに俺の人生がかかっているんだ。
勉強していた時、金持ちの家の奴を羨んだ時、家が貧乏で悲しかった時。君がくれた見た事ないような綺麗なチョコレートを貰った時。
フラッシュバックみたいな走馬灯みたいな記憶と焦燥感で吐きそうになる。腹も痛くなる。
お願いだから。
頼むから。
時間よ止まれ。
ありがとう
私は吸血鬼です。吸血症という病気の方が近いです。
血液が必要でした。
血液は、私に活力と健康を与えてくれました。
血液を飲まないと老化し、元気を失います。
私はもう、血液を飲まないと決めたのです。
先祖代々、吸血家系でしたが八重歯が尖っているような事はなく、人様に噛み付いても血は飲めません。
人に吸血症を伝染させたりできませんし、日光にあたって灰になる事もありません。
それと、漫画で描かれるような美男美女は家系におりませんでした。
皆、普通に結婚し、性行為で子供を授かっておりました。
人間の夫や妻になる人もいました。
昨今の晩婚化、シングル問題について、私も結婚出来なかった1人です。
子供もおりません。
このまま枯れて朽ち果てるのを待つのです。
今まで私に血液を与えてくれていたペットが亡くなりました。もう、私も虹の橋を渡りたいのです。
もう少しでまた愛するペットに会えます。
生きていた頃に痛い思いをさせた事を謝り、出会えた事にありがとうを伝えます。
目が覚めるまでに
我が子が寝たらハッピータイム
なんて事はない。
食器洗いに洗濯(朝できるかわからないから)
ついでに、夫の夜ご飯と片付け
乱れまくった部屋の片付けと、適当にしかできてないゴミの分別。
使ったお金の管理、予定の支出の管理
そんなしてたら一度目の夜泣き発生。
まだ二時間経ってないやーんって思いつつ、オムツや汗のチェック。必要なら授乳やミルク。
まだ12:00前なら、明日の朝ごはん、夫のお弁当、食材あれば夜ご飯の下準備。
だいたい、火をかけたタイミングで二度目の夜泣き。
はぁ〜〜〜〜って思っても行かねばなるまい。
火を消す事だけは忘れずに。
そうこうしてたら私も寝てて、なんどか授乳で起きた気がするけれど、記憶にはない。
明け方に、眠ってる子を起こさないようにそっと部屋を出てキッチンへ。
昨夜と寸分変わらず途中の料理。
追加で、夫が食べたであろうアイスクリームのゴミがシンクに置かれてる。
ジャーっとアイスクリームの容器を流し始めた途端に起き出す我が子。
夫に殺意。
子供の目が覚める前に家事を増やす事は重罪である。
だから、一人でいたい
なんでもかんでも、事件は予想しない時に予想しない方向からやってくる。
私はそれが苦手。
臨機応変に対応ができないってわけじゃない。
むしろ、そんな時にしか役に立たないかもしれない。
だが、そんなに事件なんか起こらない。
事件って言っても、ほとんどが予測不能なところからやってくるだけで、ほとんどが大した問題じゃないが解決しないと面倒が膨らむ事。
そんな事件は、大抵が巻き込まれる事によるものだ。
家族、親族、大切な友人なんかからやってくる。
自分が事件の本人なんて事は、予測できるし、交通事故みたいなどうしようもない事なんか滅多に起こらない。
自分の事で精一杯!ってときに、事件はやってくるもんだ。
だから、なるべく大切な人は少ない方がいい。
歳をとって、あいよっ!って腰軽く動けなくなる時がくる。
だから、今から先はなるべく一人でいたい。
神様が降りてきてこう言った
「生きてもいいし、死んでもいいよ」
死にたいばかり考えていた私は『死んでもいいんだ』って許してもらえて嬉しくて
「じゃあ、死にたいで!」
って即決。
「そうか、わかった。じゃあ生きないんだね」
って神様
「うん!死にたい!」
って笑顔で応えた
「そーかそーか。すまないね。生かしたのも私だ。お詫びと言っては何だけど、死ぬ前に何か叶えたい望みはある?」
って神様が聞いてきた。お腹空いてるから、好きなものがお腹いっぱい食べたいし、叩かれたり、閉じ込められたりしないで、お母さんとお喋りしたい。お風呂に入っていい匂いの自分になりたいし、同級生の子が着てる綺麗な服や、筆箱も欲しい。ふかふかのお布団も憧れてるし、通学路以外の外の世界も知りたいなぁ
って考えて
「何もいらなから、死にたい」
って答える。
「本当に?今しか願いは叶えてあげられないよ?」
って神様が言う。
「うん!私ね、お母さんから『産むんじゃなかった』『死ねばいいのに』って言われるの。だからお母さんに笑って幸せになって欲しいから、死にたい!」
だから産まれなかった事にしてほしい。
でも、産まれちゃったから、私の願いの分はお母さんにあげたいなぁ。無理ならいいんだけど。