私が小学生の頃、おじいちゃんもおばあちゃんも家事が苦手だったんだと思う。
2人で商売して、2人で家事してたから、専業主婦のいる家庭みたいにはなれなかったみたい。
とは言え、
朝ごはんはモーニング。
お昼は簡単に、うどん系麺類。
夜ご飯は外食か、簡単なもの。が定番。
洗濯はおばあちゃんが朝に干して、夕方取り込んで。
掃除は手の空いた方が…
ってなると、掃除が等閑になるって言うか…
そんな、おじいちゃんとおばあちゃんのお手伝いができるのはお掃除程度だった私。
階段に埃を見つけたら拭き拭き。
掃除機がゴミでいっぱいになってたらポイする程度。
他にも出来ることはたくさんあったけど、面倒で、庭を見ながらゴロゴロするのが大好きだった。
この時期になると炬燵を出してもらって、暑いなぁ寒いなぁって炬燵でゴロゴロしながら、部屋の隅にある埃を見て見ぬ振りしてた。
ゴロゴロしている視線は窓なんだけど、カーテンがあってさ。
暑いなぁって思いながら窓開けたらカーテンは埃を吹き飛ばし、ふわふわっていうかブワッと舞い上がる。
炬燵上の湯呑みを吹っ飛ばしたりする。
手の届く範囲にある窓でもカーテンのせいで開けられない。
カーテンをタッセルに引っ掛けておけばいいって思うじゃん?
タッセルがどこ行ったかわからないのが、じーちゃんばーちゃん家あるあるだと思うの。
悲しい、辛い、しんどい
で、泣いていた頃が嘘みたいに泣かなくなった。
泣けなくなったのかもしれない。
泣いても解決しないってわかったからなのか。
泣いても誰も助けてくれない年齢になったからなのか。
歳を取ると、感動して涙もろくなるってきいて、
それを待っている。
泣きたいし、涙が出るほど心動かされたい。
悲しい、辛い、しんどいでもいい。
嬉しい、楽しいみたいな良い涙でもいい。
そんな私は更年期って言われる年齢。
能面で過ごした結婚生活。
能面な育児。
ココロからワラエナイ。
子供達が巣立つまで、自分の人生も感情も捨てた。
浮気相手と極上の笑顔で写真を撮る夫。
反抗期なのか家庭環境なのか、怒鳴る、無視する、都合の良く私を使う子供。
怒鳴り声は聞こえない振りしていたら、大音量の騒音ってしか認識できなくなった。
耳が悪いと家族に思われてるけど、心配はされない。
それならほっといてほしい。
病院に行って治療しないからだと文句を言われ、検査に行けば無駄遣いと言われる。
どうやっても、生きてるだけで怒られる。
反論する気はない。
結婚、出産みたいな人生を左右するような出来事に、周りの助言を聞かずに進んだのも私。
夫を浮気させたのも私のせいらしい。
子供が家でお利口さんにしないのも私のせいらしい。
成長期の子供にご飯を食べさせるべく出費が増えたのも私のせい。オカズ減らして米増やさないのは知恵が足りない私のせい。
家族の誰かが風邪をひいても私のせい。
朝ごはんが好みじゃなくて調子が良くなかったのも私のせい。
私は精神科に入院した。
夫から、保険がおりるから入院してくれてた方がお金かからなくて助かるって言われた。
子供から、ご飯ない。部屋汚い。パパが怒鳴るから早く退院してって言われた。
涙なんて出ない。
理由がないから。
結婚して浮気されて、再構築と思いつつ許せなくて10年過ぎた。
飲み続ける安定剤。睡眠薬。
もう、やめられないんだろうな。
私の人生そんなもん。
子供達は10年分の成長をして、
私も夫も10年分、歳をとった。
再構築を夫が望み、受け入れた。当初は許せる日が来ると思ったんだ。
でも、何か嬉しい事をしてくれても「浮気したから」
何か嫌な事言われたら「浮気したくせに」
って最初に浮かんじゃうから忘れようにも忘れられない。
泣いて喚いたりはもう無いけれど、老後を考え出した今。本当に今更だけど、離婚しようと思う。
実質、離婚の届をだすかどうかなんかどうでもいい。
ただ、今から先の未来において関わって欲しくない。
歳を取れば、体の不自由が出てくるかもしれない。
その時に一番見たく無い顔、聞きたく無い声の夫。
私が私を嫌いになる原因なんだもん。
嬉しい事があったら『嬉しいー』って感じたい
嫌な事言われたら『そんな事言わないで』って言いたい。
夫婦として理想的な、お互いを思いやるってのはお互い無理だった。
なんなら10年もお互いよく頑張りましたねって感じ。
そうやって思えるうちに離れたい。他人になりたい。
何かしらでお互い死んで、天国に行ったり地獄に行ったり、生まれ変わったりして、巡り合ったら、同じ電車に乗り合わせたとか、アトラクションの前後に並んでた程度の限りなく他人でいたい。
例えば、毎日、右足から靴を履く。
例えば、カバンのファスナーは5ミリ開けとく。
例えば、お財布の現金の向きを揃えておく。
他にも
勝負パンツ。
黄色の財布。
枕の下に好きな人の写真。
習慣、弦担ぎ。自分なりある人はある。
気にしない人もいる。
奇跡だ!って思える出来事があった人は幸い。
奇跡じゃなく努力だ!って人もいる。
なんだかなぁ。
私、奇跡的な体験したことないや…
結果はいつも、『だろうね』って言える経験しかない。
努力は報われたり、私より努力した人に負けたり。
努力をサボったら報われなかった。
だから頑張る、努力するってのは当たり前で。
弦担ぎは努力したときしかやってない。
なーんも努力しないで棚ぼたなんて経験ない。
だから、もう一度って言うか、一度くらい奇跡的な経験がしてみたいなぁ。
自暴自棄。
味方なんて誰もいない。
大好きで結婚した夫。
夫と一緒にいるために必要ならば、夫の実家の近くに住んで、夫が家業の手伝いの為に貧乏になってもいいと思った。
結婚してすぐに、夫の周りは長男帰還万歳とばかりに囃し立て、夫はこれも付き合いだからと飲み歩く日々。
私は親族知人のいない土地、ひとりぼっち。
大好きだった夫は、私を家政婦のように扱い、大好きじゃなくなった。
地元の友達、付き合い、会社のイベント…
アレコレ忙しいらしく、ほとんど帰ってこない。
数分、数時間は毎日帰宅するのが困る。
夫が着替えるために、シャツはアイロンかけておかなきゃならないし、お弁当、夜ご飯、朝ごはん、いつ食べて食べないかわからない食事も用意しとかないと、専業主婦のくせにってオブラートに包んで嫌味。
田舎の初任給とやらに下がった夫の収入は、結婚前の三分の一。
私は、化粧品も下着も買えない。服は30センチも違う夫のお下がり。
もう、こんな生活やめようと電車に乗った。
実家に帰ったら、両親に迷惑かかるから…と、遠方に住む祖父母の家へ。
新幹線に乗り換えて、ぼんやりしていたら、祖父母のいる県についた。
電車を降りて、改札へ向かう途中、『年老いた祖父母に甘えていいのか?』と、疑問に思った。
そう思ったら、改札を出るのが怖くなった。
我慢するしかない。自分の選んだ人と結婚し、ついていったのも自分。
夫が私を幸せにしてくれるなんてバカみたいに期待したのも自分。
大人になったんだから、両親や祖父母に甘えちゃダメだって思って、元来た道を戻る列車に乗り込んだ。
日本を半周、元来て一周。
1日がかりの家出は、夫は気がつかないだろう。
列車から夕陽が見える。
黄昏れ。
田園風景は黄金色に輝く稲。
秋を感じる。
私は、
誰そ彼。
大好きな夫は別人になった。
そう思って生活してみようと決意した。