深夜1時。
置き去りにされたタバコをふかしながら
缶ビールをあおる。
カーテンの隙間から漏れ出る信号機の色が混じりあってサイケデリックみたい。
ヒビ割れたスマートフォン。
真っさらのトーク画面に一言。
「くたばれ」
最後の一本は湿気って火がつかなかった。
酔いが回ってきたのか、やけに気持ちが悪い。
吐き気がする。
『カーテン』より
日陰者の私には鬱陶しい。
何故か私に話しかけてくる太陽のような奴。
ろくに返事もしない、面白い話も出来ない私に
いつも話しかけてくるアイツ。
他にも話す人はいっぱいいるだろうに。
私の読んでる本がたまたま知ってる作品だからって毎日話に来る。
そろそろこっちから話しかけてやろうかな。
どうして貴方は私に構うの?って。
私、知ってるよ。
貴方が本なんてほとんど読まないこと。
貴方が私のために本を読んで話しかけに来ること。
私もそろそろこの部屋から出てみようかな。。。
『日差し』より。
走り回る先生。いつも忙しそうにしている。
慌ただしくベットを運ぶ看護婦さん。大変そう。
昨日まで騒がしかった隣の部屋。今日は静か。
新しいベットが廊下を通る。新入りさんかな。
今通りかかった女の人。綺麗だった。
生まれた時からそこにいる彼女にとって、
それは世界の全てだった。
真っ白い部屋の壁に、真っ白いベット。
消毒液のにおいのしない世界を彼女は知らない。
窓から見える木の葉だけが、彼女に四季の移り変わりを感じさせてくれる。
この春。彼女は初めて病院から外の世界に出る。
両親は彼女が外に出られると聞き泣き崩れた。
外の世界の事を楽しみに語る娘の目を、両親はまっすぐ見ることが出来なかった。
半年後。その病室に彼女の名前は無くなっていた。
『狭い部屋』より
なんでもは無理ですね……。
ヒーローは私を救ってくれない。
ヒーローは私を見捨てて世界を救う。
悪役は私を救ってくれる。
悪役は私を救って世界を見捨てる。
皆のために私の事は見殺しにして欲しかった。
ありがとう。さよなら。
『善悪』より