無灯

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7/2/2023, 7:23:13 PM

日陰者の私には鬱陶しい。
何故か私に話しかけてくる太陽のような奴。
ろくに返事もしない、面白い話も出来ない私に
いつも話しかけてくるアイツ。
他にも話す人はいっぱいいるだろうに。
私の読んでる本がたまたま知ってる作品だからって毎日話に来る。
そろそろこっちから話しかけてやろうかな。
どうして貴方は私に構うの?って。
私、知ってるよ。
貴方が本なんてほとんど読まないこと。
貴方が私のために本を読んで話しかけに来ること。


私もそろそろこの部屋から出てみようかな。。。




『日差し』より。

6/5/2023, 3:15:16 AM

走り回る先生。いつも忙しそうにしている。
慌ただしくベットを運ぶ看護婦さん。大変そう。
昨日まで騒がしかった隣の部屋。今日は静か。
新しいベットが廊下を通る。新入りさんかな。
今通りかかった女の人。綺麗だった。


生まれた時からそこにいる彼女にとって、
それは世界の全てだった。
真っ白い部屋の壁に、真っ白いベット。
消毒液のにおいのしない世界を彼女は知らない。
窓から見える木の葉だけが、彼女に四季の移り変わりを感じさせてくれる。

この春。彼女は初めて病院から外の世界に出る。
両親は彼女が外に出られると聞き泣き崩れた。

外の世界の事を楽しみに語る娘の目を、両親はまっすぐ見ることが出来なかった。




半年後。その病室に彼女の名前は無くなっていた。



『狭い部屋』より

5/17/2023, 7:20:07 AM

なんでもは無理ですね……。






4/27/2023, 6:38:09 AM

ヒーローは私を救ってくれない。
ヒーローは私を見捨てて世界を救う。

悪役は私を救ってくれる。
悪役は私を救って世界を見捨てる。



皆のために私の事は見殺しにして欲しかった。
ありがとう。さよなら。



『善悪』より

4/21/2023, 2:43:22 AM

何も要らなかった。
地位も、名誉も、お金も。
自分の命すらも、惜しいとは思わなかった。


君と出会ってから、僕は死ぬのが怖い。
もう少し一緒に居られたら良かったのだけど、
多分無理だ。
最後にもう一度、貴女に会いたかった。


あの夜を懐かしみながら、僕は永い眠りにつく。
君は泣いてくれるかな。それとも新しい人と結ばれて、僕のことなんて忘れてしまうのかな。


君と出会ってから、僕は命が惜しくてたまらない。



『何もいらない』より




小倉百人一首、五十番歌、藤原義孝の二次創作。

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