#51【ぬるい炭酸と無口な君】
※同性愛要素を含みます
「なんか奢るわ。何がいい?」
先ほど寝過ごしてしまった数学のノートを見せてもらった代わりに、俺が自販機で奢ることに。
「…別に、なんでも。」
普段から無口な君は、そんなことを言う。
なんでもが一番難しいのに。
「なんでも…とかムズいんだけど。」
「三ツ矢サイダー…とか、」
君は小さく呟く。
「え、そんなん飲むんだ…」
少し驚きながらも、サイダーのボタンを押した。
「ん、これ。」
「ありがと、」
帰りの昇降口、君を見つけた。
君の手には昼のサイダー。三分の二ぐらいが飲み干されていて、まだ残っている。
どこか嬉しそうな表情だった。
「まだ全部飲んでねーの?」
「…うん。なんかもったいなくて笑」
笑った。あの無口な君が。
「俺、なんか花川といると…安心する。」
そんなこと言われるなんて思っていなかったから、嬉しくて嬉しくて。
「そんなこと言われるの初めて。ありがと。」
俺はそう返して、さりげなく赤い顔を隠した。
#50【半袖】
※同性愛要素を含みます
「ん。」
前の席の君がプリントを渡してきた瞬間、制服の裾から脇がちらっと見えた。普段は長袖を腕捲りしているのに。レア、だ。
「ありがと、」
そっけなく返事をしたものの、心の中で興奮している自分がいる。
あれ、なんか数足りなくないか…?
「あ、もう一枚あった笑
わり。」
あああああ…俺のこと殺す気かよ、
プリントが全体に行き渡ってからも、僕は顔が熱かった。
#49【もしも過去へと行けるなら】
※同性愛要素を含みます
もしも過去へと行けるなら、君に告白したかった。
『大好き』って、思いっきり想いを伝えたかった。
だけど、もうできない。
どうせ卒業なのに、もう伝えるチャンスはないのに。
俺はどうして躊躇ってしまったんだろう。
最後の別れ際に『じゃあね、』と手を振りながら一言放った君。思い出す度、胸が苦しくて苦しくて。
もう俺、立ち直れる自信ないよ。
『じゃあね、』って君に手を振った瞬間、ありったけの涙が目から溢れてきた。
両親にはとても心配されたし、むしろ怖がられた。
人生でこんなに泣いたことなんて一度もなかったのに。君の事になると僕、別人になるみたい。
卒業式の式中も時間いっぱい考え込んだ。
告白したかった。
だけど向こうは友達とメッセージを書き合ったりしていて忙しそうで。
僕なんかが近寄っちゃダメな存在だったんだ、って思っちゃった。
また会えるといいね、大好きだよ。
#48【歌】
※同性愛要素を含みます
「♫♩〜」
僕は放課後、誰もいない屋上で歌っていた。
歌っている時は辛いことも、全部忘れることができたのだ。
ガチャ、背後でドアが開く音。
「きれーな声…」
僕はばっ、と後ろを振り返った。
「は!?うわ、待って終わった終わった…」
「そんな終わんなよ笑 てか俺毎日お前の歌聴いてたんだけど、普通気づかねー?」
毎日。その言葉に僕は後ずさり。
「え…毎日、?」
「そ、毎日。嫌なことあってもお前の歌聴いたら、全部吹き飛んだ。」
「…嬉しい、わ。一応。」
素直に喜ぶのも、なんか嫌だった。
「何一応とか言っちゃってんの笑、顔真っ赤にしてそんなこと言っても、さ。」
図星を突かれた僕は黙り込む。顔が真っ赤だと言われたから、顔も隠した。
「ほんと、なんでそんなに可愛いかな…」
投稿頻度バグってて申し訳ないです…泣
いろいろあって凄い期間サボってました…
とりあえず今日分は投稿しましたのでまた明日!
(多分…)
#47【春爛漫】
男子高校生がいちゃるやつです。
「よっ!!」
桜が散る中、君が背中に覆いかぶさってくる。
これが日常。
「ふふ、おはよ。」
「なんでいっつも塩なんだよ〜…」
「慣れてるからね〜」
そんないつもの日常だけど、今日はちょっと特別。
川には沢山の花びらが浮いて、流れていく。
春風に押されながら通る並木道は心地よくて、いつもこうならいいのに、と思ってしまう程。
春爛漫。
「何ぼーっとしてんのー?」
「ん、なんでもない。行こ!」
結構な傑作を前回投稿したつもりだったんですけどデータ消えててメンタル崩壊寸前です😭