クジラになりたいイルカ

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11/29/2022, 10:40:50 AM

冬のはじまり____

2022/11/29 小説日記



映像をみてすごいと思った。

周りは真っ白で

真っ直ぐに箸から箸へ移動するだけで

太陽は決して沈まない。



映像をみていいなと思った。

周りは薄暗くて

微かな光が地平線を移動するだけで

太陽は決して登らない。



窓から冷たい風が吹き付け鳥肌が立つ。
一日中夜なんて羨ましい。そう思った。

単に、真っ暗が好きだとか
夜はずっと寝れるからいいなーとか
そういうんじゃなくて。

きっと、一日中夜でも起きなきゃいけないし、
登校しなきゃいけないし、
明日へ進まなきゃいけない。

時間が止まっているわけじゃない。そんなのわかっている。それでも、永遠に夜が続くのはいいなと思う。ずっとずっと、私でいられる。そんなのどれだけ楽だろうか。どれだけ自由だろうか。



袖を伸ばし私はため息を付きながら

授業が終わるのを待った。


11/26/2022, 1:01:27 PM

微熱____

2022/11/26 小説日記

「せんせ…」

そう言いかけた。放課後の廊下や教室には誰もいなく職員室にも担任の先生しかいなかった。目の前では先生が3枚のプリントを持っている。私は職員室のドアの前で立ち止まった。

プリントにはたくさんの難しい漢字が書かれていたが病院からの手紙だということはわかった。私は一歩足を下げ少しだけ身を構えた。覗くように先生の後ろ姿と手にある手紙を見る。一枚目をめくり、二枚目の手紙には同じようなたくさんの文字が書かれていた。だけど、まるで光が差し込んだように一文字がはっきりと見えた。

「余命約2年」と。



はっと目が覚めた。嫌な汗をかきながら今のは夢だとすぐわかる。一番最初に思い出したのは現実に戻り際にみた先生がこちらを振り返った顔だった。その顔は驚いていたような悲しんでいるようなよくわからない表情だった。ただ、なぜか怖いと思った。


ワクチン接種を昨日したからか、体が重く熱っぽかった。冷や汗もかいている。先生が検査入院から退院してちょうど1週間。先生が病院にいるときより不安が襲いかかってくる。


無理をしているんじゃないか。
本当は重い病気なんじゃないか。
ぱっと消えてしまうんじゃないか。

そんなありもしない、
あるわけのないことを考えてしまう。






あとがき
2022/11/08に書いた小説日記があります。そこには先生が検査入院したという日記ですので良かったら読んでみてください。

小説日記というのは小説のように自分の感情やその時の状況を詳しく書いたものであり、日記なので全て事実です。

11/25/2022, 1:35:49 PM

太陽の下で____

2022/11/24 小説日記

まさみが私の筆箱を開け中を見ていた。

「どうしたの?忘れ物?」

「忘れ物ってww。違うよ〜」

女子は勝手に筆箱を開けることは珍しくない。かわいいペンやマーカーを見つけてそれに対して話をしたりよくあることだ。私はそれかと思ったがまさみが急にそんなことをするのはおかしい。席が前後だったりすればそういうことはあるがわざわざ遠い私の席へ来るのは不思議だった。一体どうして私の筆箱の中を見ているのだろうか。

「なみがね、クジラにあげたペン使ってるか確認してって言われたから」

なみは同じ部活仲間だった女子だ。まさみと仲がよく引退した私となみは他クラスということもあってほとんど話していない。だから、私と同じクラスのまさみに頼んだんだろう。

「なるほどね〜。私何もらったっけ」

「なんか、ピンクのペン?」

私は家の机の中を思い浮かべる。誕生日プレゼントでは色々なものをもらったせいか、友達からもらった文房具がポーチにまとめて入っている。その中から彼女にもらったプレゼントを思い出すことはできなかった。

「家にあるかも」

「大丈夫〜、使ってたって言っとくから!」

「ありがとう、」

ペンや消しゴムは使い切ってから友達からもらったのを使っている。だから、なみからのプレゼントはまだ使っていない。それは言い訳になるだろうか。ただ、まさみに嘘をつかせてしまうことが申し訳なかった。





2022/11/25


私はピンクの消しゴムとペンを3本、筆箱に入れて学校に行った。

1時間目は道徳で短所を長所に変える、リフレーミングを行った。周りのから長所を教え合いながら話し合いをする。金曜日だからか今日はみんな少しだけテンションが高かった。

「クジラは優しいじゃん」

前の席の友達と話していると彼女は先生を呼び止め話し合いに参加させた。私は先生に「優しい」と言われ、嬉しかった。ただ、一年生の頃にもこういった授業があり6人中全員一致で「優しい」という長所だった。それだけだった。そして、話し合いをしているときもそれしか言われなかった。

誰でも優しいじゃん。正直その感想しかない。優しくすることなんて誰でもできる。みんな、そうだ。だから、私の長所がそれだけなのが悲しかった。

「あー、やっぱりそうですよね!!」

と前の席の友達が言う。

「えー、何かやだ」

そう不満げに答える私に先生は笑っていた。優しくすることなんて誰でもできる。

その後はまさみや親友がこちらにきて話し合いをした。その時も「優しい」という長所しか出てこなかった。わかっている。贅沢なのは。友達から優しいという長所を言ってもらえるのは光栄なことだ。それに対して満足できない私が悪いだけ。

それに、「優しい」の反対は「我慢」だと思っている。自分で我慢して体調を崩してそれを理由にして勉強をしなかったり言い訳にする。そう思うと「優しい」という長所は私にとって都合のいい行為だ。それを知っているのは私だけ。だから余計に「優しい」と言われるのはあまりいい気分ではなかった。


授業が終わりまさみの席に駆け寄る。

「なみにもらったのってこの中のどれかな?」

3本のペンにピンクの消しゴムを見せた。家にはピンクのペンはなく消しゴムだけしかなかった。しかし、色が違っていて本当はペンかもしれない。だから、友達からもらった文房具を持ってきて彼女に見せたらわかると思ったんだ。

「あー、わかんない。ごめんね〜」

「全然大丈夫だよ〜」

「クジラ、わざわざ使うの笑?」

「せかくもらったしね、だからまさみはなみに嘘付いたことにならないから安心してね」

「そういうとこよ」

「え?」

「クジラの長所。ありがとっ」

「うん……全然」


いつも我慢するとき………人に優しくするとき、みんな当たり前のようにそれを受けいれる。だから、改めてそう彼女に言われるととても嬉しかった。







11/23/2022, 2:26:50 PM

落ちていく____

私のアール


わたし、屋上で靴を脱ぎかけた時に

三つ編みの先客に、声をかけてしまった。

「ねえ、やめなよ」

口をついて出ただけ。

ホントはどうでもよかった。

先を越されるのが、なんとなく癪だった。

三つ編みの子は、語る。

どっかで聞いたようなこと。

「運命の人だった。どうしても愛されたかった」

ふざけんな!

そんなことくらいでわたしの先を越そうだなんて!

欲しいものが手に入らないなんて

奪われたことすらないくせに!

「話したら楽になった」って

三つ編みの子は、消えてった。



さぁ、今日こそはと靴を脱ぎかけたらそこに

背の低い女の子また声をかけてしまった。

背の低い子は、語る。

クラスでの孤独を

「無視されて、奪われて、居場所がないんだ」って

ふざけんな!

そんなことくらいで私の先を越そうだなんて!

それでも、うちでは愛されて

あたたかいごはんもあるんでしょ?

「おなかがすいた」と泣いて

背の低い子は、消えてった。






そうやって、何人かに声をかけて追い返して

わたし自身の痛みは誰にも言えないまま。






初めて見つけたんだ。

似たような悩みの子。

何人目かに会ったんだ。

黄色いカーディガンの子。

「うちに帰るたびに、増え続ける痣を

消し去ってしまうためここに来たの」と言った。

口をついて出ただけ。

ホントはどうでもよかった。

思ってもいないことでも、声をかけてしまった。

「ねぇ、やめてよ」

ああ、どうしよう この子は止められない

わたしには止める資格が無い。

それでも、ここからは消えてよ。

君を見ていると苦しいんだ。

「じゃあ今日はやめておくよ」って

目を伏せたまま消えてった。






今日こそは、誰もいない。

わたしひとりだけ。

誰にも邪魔されない、邪魔してはくれない。


カーディガンは脱いで

三つ編みをほどいて

背の低いわたしは

今から飛びます。



作曲.作曲/くらげP

11/21/2022, 1:45:37 PM

どうすればいいの?____



2022/11/21 小説日記


勉強もなんにもできない自分が嫌いになった。
大嫌いになった。


でも違う。本当に嫌いなのは、なんにも才能がない自分が嫌いなんじゃない。どうにかしようと頑張ろうと、努力しても報われない。努力しようとしない自分が嫌い。


なんにもできないからやるはずなのにそれをやろうとしない。そんな自分が嫌い。


だから、自分のことを攻める。だから、憂鬱になる。こんな自分、大嫌い。って、思っている間でも勉強だの、人に優しくできる努力をしろよって思うけどできない自分の弱さがもっと大嫌いになる。


どうしたらダメ人間やめられるかな。どうしたら努力できるのかな。努力してなにか1つでもできるようにしたい。でも、どうすればいいんだろう。何をやっても無駄な気がして、それが報われるかもわからないから、やっても無駄だと思ってしまう。こんな私がやってもと思ってしまう。


どうすればいいかな。

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