微熱____
2022/11/26 小説日記
「せんせ…」
そう言いかけた。放課後の廊下や教室には誰もいなく職員室にも担任の先生しかいなかった。目の前では先生が3枚のプリントを持っている。私は職員室のドアの前で立ち止まった。
プリントにはたくさんの難しい漢字が書かれていたが病院からの手紙だということはわかった。私は一歩足を下げ少しだけ身を構えた。覗くように先生の後ろ姿と手にある手紙を見る。一枚目をめくり、二枚目の手紙には同じようなたくさんの文字が書かれていた。だけど、まるで光が差し込んだように一文字がはっきりと見えた。
「余命約2年」と。
はっと目が覚めた。嫌な汗をかきながら今のは夢だとすぐわかる。一番最初に思い出したのは現実に戻り際にみた先生がこちらを振り返った顔だった。その顔は驚いていたような悲しんでいるようなよくわからない表情だった。ただ、なぜか怖いと思った。
ワクチン接種を昨日したからか、体が重く熱っぽかった。冷や汗もかいている。先生が検査入院から退院してちょうど1週間。先生が病院にいるときより不安が襲いかかってくる。
無理をしているんじゃないか。
本当は重い病気なんじゃないか。
ぱっと消えてしまうんじゃないか。
そんなありもしない、
あるわけのないことを考えてしまう。
あとがき
2022/11/08に書いた小説日記があります。そこには先生が検査入院したという日記ですので良かったら読んでみてください。
小説日記というのは小説のように自分の感情やその時の状況を詳しく書いたものであり、日記なので全て事実です。
11/26/2022, 1:01:27 PM