「さよなら」っていう前に
わたし的にさよならって言う前にその人にだけ伝わる言葉でなにか話して欲しい。
アニメとかでよくあるあの名シーン
視聴者とその人同士だけの
さよなら以外の秘密の言葉
そらもよう
うちの子に「そら」って名前をつけた
はれているときいちばんきれいだから
すみわたるようなこころのもちぬしであってほしい
くもがかかっていたっていい
あめがふっていたっていい
さいごはにじがかかるだろうから
そらって、きれいでしょ?
「わたしってかわいいんだ……」
鏡に映る自分を見てある子は言った
服装も、髪型も、メイクも、バッチリ決めて
色々な角度で色々な表情やポーズを取りながら、その度かわいい、かわいい、こっちもかわいいー。と思っている。
ノーマルカメラにある子は手を伸ばした。
「鏡で可愛いなら……」
パシャ
絶望的だった
「なにこのブサイク……
周りからは私ってこんなんなの?」
そういいながら
これまた色々な角度、表情、ポーズを取ってみたらしいがどうもブサイクが映るだけ…………
「私って世界一可愛い💗✨🪩✨ ♬︎.*」
鏡に映る自分を見てある子はまた言った
いつまでも捨てられないもの?
「ないよ」
僕は今までも、
これからも、
そんなものはないと言い切れる
「えっお前の部屋なんもないじゃん!?」
「もう使わないものは片っ端から捨ててるから、
絶対部屋は散らからない。」
「ベッドとかないの?」
「ない、床でいい。夏だし。」
「冬は?」
「寝袋。」
「うわぁ不健康」
「必要なものはその場その場で買い足す、
それで十分。」
「冬服とかは今はどっかに仕舞ってるの?」
「ないよ。」
「捨てたのか」
「寄付した」
「偉」
「新品同然だし、寄付したほうが効率的」
「絶対残してたほうが経済的にも効率的にもいいだろ笑。その変なこだわりなんだよ笑」
「そうしたいからそうしてるだけ。」
「捨てられないこだわりってやつ?」
「そんなんじゃ……ないよ。」
「おしろできたーー!!」
「わぁでっかーーー!!」
「いやいや、ボクのほうがおっきいもんねーー!」
「ほんとだーー!すげーーー!」
「トンネルもある!どやっ☆」
「なあどこ高行ったん?」
「神一高。」
「ふーん。偏差値高いじゃん」
「お前はスポーツ推薦で野球の強豪校入ったんだろ?頑張れよ」
「おう、おめーもな!!」
「わーカッコイイですねーモテそー」
「こんにちはーそちらもかわいいですねー。」
「何処で働いてるんですか?」
「一応、Googleで働いてます」
「私たち気が合うと思うんです……付き合いません?」
「はじめましてですよね……?」
「よ、久しぶり。最近どうよ」
「幸せだよ。家庭も築けて、憧れのマイホームも建てたんだ」
「結婚式で見た奥さん美人だったなー。まさかマイホームまで建てちまうとは、人生順調だな!」
「お前も彼女のこと大切にしてやれよ。職業的に帰り遅いだろ?」
「ふっふっふっ今日は付き合って3年目いよいよプロポーズすんだよ。次会うときは結婚式だ!ご祝儀準備しとけよー!!」
「おい、死ぬんじゃない……奥さんと子供残してどこへいくんだ……」
「わしはもうダメだ……愛子、こんなわしを愛してくれてありがとう。愛華、孫の顔も死ぬ前に見れてわしは幸せじゃ愛華と愛子はわしの誇りじゃ……ありがとう……そして心の友よ、また逢おう」
「優助さん、若い頃のバイクの旅本当に楽しかったのよ。感情表現が苦手な私の笑顔を引きずり出してくれてありがとう。家事が苦手だったけど必死に私の真似して、優しいお父さんだったね。いままで本当に、ありがとう。優助、お疲れ様。愛華、お父さんにさようなら言っときなさい。」
「おと、うさ、ん。何で、いっちゃうの、わたし、まだ、おやこうこう、して、な、い、ぐすっ、おとうさんが、ないしょでくれた、あのいちごパフェ、こんどは、わたしがおごるから、めを、ひっ、あ、けて、よ、ぐすっ」
「8月16日、ご臨終です。」
「ええほんと誇らしい人生でした神様、今度はどんな人生になりますかね?」
「きっとまたいい人生になるでしょうね
人と比較することなく、自分だけの誇りを見つけられたんですから。」