「私とパチンコ、どっちが大事なのよ!!」
彼がまた負けてきた。3万もだ。
付き合った当初はクリスマスにも記念日にも、
私との時間にお金を使ってくれていたのに。
変わってしまった……
彼は、変わってしまった。
「変わったんだよ、何もかも。」
ようやく口を開いたかと思えばそれだ
私はもう、どうしていいのかわからない。
「変わったんだよ、分かるだろ。
目を覚ませよ。いい加減」
「目を覚ませですって!?
それはあなたの方でしょう?」
もう、この人とは終わりかも
『どうすればいいの?』
『眠りにつく前にホットミルク、飲みませんか?』
あたたかいですよ。と、私の前にホットミルクを差し出す。湯気が揺らめき、とぷん、とミルクが波打った。
でも……
「アナタ、誰ですか?」
そう、目の前の人を私は知らない。
赤の他人が不法侵入している状態。
『私はまどろみのなかに見える妖精ですよ?
怖がらないで、ほら……』
またホットミルクを勧めてくる。
時計は25時を回っている。最近寝不足が多くて疲れていたし、もう不審者でもなんでもいい……と、ホットミルクを手に取りごくんと飲んだ。
その瞬間わたしはすうっと眠りについた。
【『まったく、こんなところで寝てしまっては良質な睡眠は取れませんね。』
僕は疲れきった彼女をベッドの上に乗せ、布団を掛けてやった。アラームだって、いらない。10連アラームは体に悪いのだ。
では『おやすみなさい、またいつか』】
愛してるとか大好きだとか
言える相手がいたらいいな
「好きーーーーーーーー!!!!!
あなたの事がずっとずっと好きだったーーー!!
どうしようもなく、好きーーーーー!!!」
冬の湖に全部吐いた。
片思いで積もらせてきた想い、全部。
こんな事しても、伝わらない。
意味ないのにな
白い息混じりの乾いた笑いが込み上げてくる
はは、ははは………、はあ。
口元をマフラーで塞ぐ
「もう帰ろう」
そう言って振り返った時だった
「好きだああああああああああァ"ァ"ァ"ァ"ァ"!!!
あいつのこと、好きになっちまったああ!!
ユキィ!!好きだよーーー!!」
私より遥かに大きい声で湖に、あなたは好きを吐き出していた。
ユキ……私の名前。
そして、この声は私の好きな人。
私はすうっと息を吸う
冷たい空気を肺に入れ、全部吐くんだ
「ケンターーーーーーーー!!!!!!!!!
あなたの事がずっと好きだよーーーーーー!!!
4月からの一目惚れで今までずっと好きでいたのーーーーーー!!!!
だから!もし願いが叶うならァ!」
私はあなたの方を向いた
あなたも私の方を見ていた
「俺も!ユキの一生懸命なところが好きだーー!
それだけじゃない!可愛い笑い声も、笑顔も、全部好きだーーー!!!!これからは俺が傍で笑わせたい!!!!だから!もし願いが叶うならァ!!」
すうっ、
私たちはほぼ同時に息を吸った
「「あなたと付き合いたーい!!!!!!!!」」
「「好きだーーーーーー!!!!!!!!!!」」
超えが枯れるまであなたと好きを重ねた。
あなたとまたほぼ同時に声が掠れ、やがて聞こえなくなる。
私と、あなたが、向き合ったとき、私はあなたの胸に飛び込んだ
『声が枯れるまで』
ああ、 高く。
高く。
もっとその先へ
高く。
高く。
そう もっとね
ええ、いいわ
あそこを飛び越えるくらい
高く。
高く。
堕ちていきたいと願った
絶望が心地よい夜
そっと
『高く高く』