かなしあそばせ

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3/1/2025, 12:55:11 PM

シンとした冷ややかな空気が心地いい。
暖かな毛布にくるまった私は「その時」を
じっ……と。待っている。

後3ヶ月か2ヶ月か、
もしかしたら1ヶ月かもしれない。
楽しみだなあ
みんな綺麗だよって言ってくれるかな

私はチューリップ。
まだ、「その時」でないことは分かっている
だが、私は「その時」ピンクの花弁をつけるらしい

「その時」の為に、長らく土に潜っている。
近くを通るミミズさんに挨拶をしたりしながら過ごしていた。
「いつもお世話になってまーす!」

返事はきたことないけど、たぶん伝わってる。
ちゃんと栄養満点の土になってる。

人間さん!「その時」……
いや「芽吹きのとき」までアナタも!

腐らずに待っていてね!

『芽吹きのとき』

2/25/2025, 1:39:25 PM

『さぁ冒険だ』

大きな海!

でっかい船!

宝の山!!!!

「俺は大冒険家だーーー!!」

「ミナトー?ご飯よーー」

母ちゃんの声だ
もう、今いい所だったのに……

「砂場片してから来なさいねー」

母ちゃんの一声で、さっきまでキラキラしていたものは全て砂の山になってしまった。
オレが主人公の最高傑作が……
むー

「片付けない!!ご飯にする!!」

つまらない砂山はもう用済みだ。

「はーしょうがないなー……
ミナト、先にご飯食べよっか」

「うん!」

玄関では無く、リビングの大きい窓からサンダルを脱ぎ捨て家に入る。
正直びっくりした。母ちゃんがすんなり折れるなんて。今までだったらもう2、3回はラリーを続けていたところだ。

「今日焼きそばだ!うまそー」

うちの焼きそばはいつも塩。
磯の香りがするような気がする。
あ、見えてきた。
波打つ海。朝早くから出航する漁師。
そしてオレは、海賊。
乗ってた船は沈没したので勝手に漁師の船にのる。
うっひょー
こっそり乗ってることも忘れて潮風をたっぷりあげるんだ。
うん、塩の味がする。

「ご馳走様でした!外でてくるー!」

「また砂場ー?」

「うーん!」

もうサンダルは履き終わった。
母ちゃんの声も遠くに聞こえる
「飽きたら片付けしなさいよー」

まだ飽きないよ、いま海賊王を目指してる所なんだから。
タッタッタッ
無駄に足音を鳴らして走る

砂場に飛び込んで、
「さぁ、冒険だ!」



2/16/2025, 2:19:22 PM

時間が止まれば、
怒られずにたくさんゲームが出来る

時間が止まれば、
2度寝し放題になる

時間が止まれば、
超人に魅せることが出来る

でも、本当に望んでいたのはそんなんじゃなく、
もっと単純なー

「あ、もうこんな時間。
ごめん今日塾あるから帰るね。」

大好きな人といる時間が増えたり、

「そっかじゃあね……」

この時間が終わって欲しくなかったり、、、

甘い贅沢な時間がずっと、
ずーっと、続いて欲しいだけだった。

『時間よ止まれ』

2/11/2025, 1:55:29 PM

いつも、
朝起きて、スマホ見て、ご飯食べて、仕事して、スマホ見ながらご飯食べて、仕事して、スマホ、フロ、スマホ、ご飯、スマホ、入眠。

休日は、
朝起きないで、昼過ぎ起きて、スマホ、んでちょっと食べて、スマホ見て、寝る。

ある日思った「うわ、つまんねぇーーーーーーー」

ただYouTubeと、漫画アプリの往復
たまにX、たまにLINE。

「スマホゲームも飽きたしなぁーーーー」

最近ずっと心ここに在らず。

「生きてる感じしねぇや笑」

……スマホない時、何してたんやろな

もうココロは死んでいるきがした。

はあ……

『ココロ』

2/10/2025, 1:25:00 PM

●「ねーお兄ちゃん知ってる?」

「なあに?」

●「お星様は天使様なんだよ!」

「そうなのか」

●「うん!だから、お星様に願って手をこうやって合わせたら願いが叶うんだよ!」

「おー願いが叶うんだな」

●「そうなの!でも……」

「どうした」

●「今日はお星様いない。雲が意地悪してるから」

「そうだなー」

●「うーん明日なら晴れてるかな?」

「どうだろうな、明日……手術頑張ったら、見えるかもな」

●「うん!僕頑張って病気治す!それでーお星様にお願いするの!」

「そうか。何願うんだ?」

●「うーん秘密。」

「どうしても?」

●「内緒の秘密ーー。しーだよ。」

「なんだそれ笑」


●「……お兄ちゃん」

「ん」

●「なんでもないよーだ。」

「はーもう寝るぞ笑」

●「うん!おやすみお兄ちゃん」

「……おやすみ」


翌朝

晴れやかな朝日が差し込む

病院の中は白すぎて眩しいくらい

弟が呼ばれて、手術に向かった。

……頑張れ。

●「おにーちゃーん!」

「あぁ、どうした?」

●「呼んでも返事しないから!僕、頑張るよ!」

「……ああ」

弟は、癌だ。

俺は馬鹿だから、詳しく話されても分からなかった

ただ癌であるらしい。

手術は成功するか、失敗するか、分からないらしい

でも、信じてる、きっと……って

……死ぬな、死ぬなよ。



「あのー手術、終わりましたよ?大丈夫ですか?」

「えっあ、大丈夫……です」

「君汗凄いね。大丈夫?」

「は、はい、えっと弟は……?」

「終わったよ、無事。」

「…………!!!!!」

「す、すぐ行きます!」

●「もういるよ、お兄ちゃん。」

「……!!よかっ……た。よかった、本当に」

●「大袈裟だよ、ほらお兄ちゃん立って」

「だっ、だってー……あーーーーよかったー!」

●「お兄ちゃんうるさい!ほら、僕もう布団に戻るから」

「ごめんなぁ、でも嬉しくてさーーーー泣!」





●「あっ今日お星様見えるよ」

「なんかお願いするか」

●「えーと、お兄ちゃんが僕なしでも生きていけますように」

「……へ?」

●「お兄ちゃん、今日すごい泣いてたし、一人暮らしとか心配。」

「だって」

●「だってじゃない!……お星様みたら僕のこと思い出して安心して!」

「……えーあーうん!」

●「へへっ」

「じゃあ俺は……」

この空に星が輝いている限り、俺と弟が、いつまでも、どこにいても、通じ合えますように。

●「お兄ちゃん、今なにお願いしたの?」

「へへっ内緒の秘密!」


『星に願って』

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