漣 蓮斗 月一更新かも

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8/23/2024, 11:06:43 PM

テーマ 海へ

青い夏。青い海。青い空。青い世界好きだった。

「でももうそのセカイは無いんだ」

真っ赤な夏。真っ赤な海。真っ赤な空。真っ赤なセカイで染まっていた。

「海を見に行こう!」
そう病室で元気に言っていた。
「..そうだね」
君は海まで歩けるかな。


「ありがとね」
手紙に書かれた一言の文字。

「..海に行けなかったね」

ある日、海に行ってみた。真っ赤な海は海底を隠すように染まっていた。
「海に来れたよ」
君が見てくれると思って喋った。

君の死体を投げた。君は海に沈んだ。何も感情のない人形のように反応もしない君の姿を見ていた。

「セカイは変わってしまったんだ」
生きてるだけで精一杯の生活。もちろん食料を手に入れるだけで一日が終わる。お金なんてこのセカイでは通用しない。

「昔のほうがよかった」
そう誰しも口にすると僕は思う。けれどセカイはそんなに甘くない。セカイを変えるために命をかけてるか?と聞けば、沈黙が返ってくる。少なくとも僕はそうだ。


変えたいけどそこまでして変えたくない。わからない感情が僕を渦巻く。その中で僕達は生きている。

おわり

8/18/2024, 11:19:19 PM

テーマ 鏡

鏡は全てを反対に写してくれる。




喜びも、悲しみも、セカイも、偽善者も。

「だんるなに対反て全」
そんな鏡の世界で喜びながら死んでいる。
自分の顔に仮面をつけず、善者を気取らず、ずっと、ずっと気取らずに死んだ。
喜びながら。

「せ幸」

地面に向かわず飛ばなかった。



「...死んだのか」
しばらく喜びに浸った。

おわり

8/16/2024, 8:37:32 AM

テーマ 夜の海

僕は夜が好きだ。夜の暗さは全てを無くしてくれる。悲しみ。憎しみ。喜び。不安。綺麗なほどに見えないものになる。

「...鏡みたい」

夜の外にある海面の水面が真っ黒で、眠っている魚も、その海底も覆い隠していた。

「僕も隠してくれるかな」

赤い液体が付いたまま、僕は夜の海に飛び込んだ。




「次のニュースです。ーーーの海に人が沈んでいると119番通報がーーーー」


おわり

8/9/2024, 10:16:32 AM

テーマ 上手くいかなくたって良い

全てが僕には必要ない。

「アハハハ、ひっど〜い」

「「「「バケモノ」」」」

「..そうだよ。僕は化け物。」
羽の生えた醜い化け物。
「でも、化け物だからナニ?」

「「「「キエロキエロキエロ」」」」

「お手本見してよ」

「.....」
静寂に包まれる。自分は身を捧げたくないってか。自分勝手のあいつらにイライラしてくる。

「じゃあ実験〜」



僕の綺麗な羽が染まっていく。
「昔は違かっただろ?」
顔しか知らないようなただのニンゲンに言われる。
「ムカシ?どれくらいムカシ?」
「2年前だよ」
「...オボエテナイヤ」
昔ってなんだよ。僕は今を生きているんだ。

セカイが無くたって良い。スベテ消えても良い。
バケモノでも良い。ただのニンゲンでも良い。

「生きていればそれでいい。」



一つの教室は一色に染まっていた。

おわり

8/6/2024, 10:31:42 AM

テーマ 太陽

夜に花火が光る。
「けっこう回れたな〜」
夏祭りに来た君が言う。
「そうだね〜」
「もうお祭り終わるから帰ろ〜」
「分かった〜」
花火を背に向け、君が帰る。

「課題やらないとだな〜」
「僕は課題終わった〜」

「花火綺麗だったな〜」
「華やかなだったよね〜」

「お腹いっぱいだ〜」
「めっちゃ食べてたからね〜」



「...あの子も来れたらよかったのにな。」
「....」
君の目から涙がこぼれていた。



次の日。
君が家から出て少し立ち止まった。
「おはよ〜」
「..あの子が去って4日目か」
「あの子ともっとお話がしたかったよ..」
「....」
眩しい空を見上げながら君は僕にそう言った。

おわり

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