テーマ 半袖
「...ぁ」
風が涼しい。半袖半ズボンだからなおさら風が当たる。風の強さがちょうどいいと思ったら風が吹かなくなった。残念だったが、もうなんでもいいやと思ってしまった。
「今年の夏は平和かな」
隣の幽霊が喋っている。またこいつか。夏にしか出てこない亡霊。結構昔に死んでしまっていたらしい。
「そうだといいね。」
亡霊もいなくなる平和なセカイを僕は望んでいた。
おわり
テーマ 逃れられない
「人間っていつか死ぬんだよ!」
元気に少年は言った。少年の言葉は事実だった。
「人間のじゃなければ生きてるの?」
「それは知らない!」
「ほぇ~」
軽く話してる少年少女。そう。人間はいつか死ぬの。だからあいつも死んだ。
僕という死神のせいでね。
おわり
テーマ 透明
「...君一人?」
「..うん」
僕たちの生まれた島は君と二人だった。年は9歳。親が捨てたんだろう。服は2着だけあった。
「これ遊べるかな?」
「これ食べれるかな?」
子供だから知識がないが、頑張って二人で生きていた。
ある日、
「ちょっと食料取ってくる」
「今は外危n」
僕が止める前に君は家を出た。昔使ってあったと思われる空き家は扉が揺れていた。雷が危ないのに。
「...はぁはぁ」
見つけた。桟橋のところで泣いていた。辛いと思う。親のいない生活。本で知ったが、親がいて、友達がいて、学校に行って楽しんでるのが子どものよくある例。そう書いてあった本は廃校舎にあった。
「..ごめんね」
「まっt」
「「「バッシャーン」」」
すごい水しぶきがたった。君は海の深くへ沈んでいった。海の中に急いで手を伸ばしたが、君は受け取ろうとは思っていなかったようだ。
「..リーン」
夏の涼しい風が古い風鈴の横を通ってゆく。暑くなってきて、僕は展望台に登っていった。そこは木だけど僕にとっては最高の展望台だ。丘の木の展望台は海と森が同時に見えて、より一層景色が綺麗に見えている。
「...ん?」
海の砂浜のところでなにか音がした。僕はそこに行った。
「貝か...」
綺麗な白さがある貝だった。それは海の美しさをすべて知ってそうだった。あいつのようにも輝かしかった。
桟橋を渡った。夏の青さと海の青さがきれいだった。もうつまらなくなった生活。
そして僕以外誰もいないこの島に
さよならを告げた。
おわり
テーマ 突然の別れ
「...」
静かな部屋には乱雑に置かれた絵の具やキャンバス。筆は左手に持っていた。
ーー 一週間前 ーー
「..あとこれだけか」
キャンバスや絵の具が不足してきたから、右手にバッグを持って街に出て買い物をしていた。
「..何処がいいかな」
キャンバスにも種類はある。悩みながら歩道を歩いていたら、
「危ない!」
誰かが叫んだ。何事かと思ったらこっちに車が来ていた。幸い大事には至らなかったが、大切なものを失った。
いつの間にか、本物ではない手が右で動いていた。
おわり
テーマ 恋物語
手を伸ばした。そこにはきれいな一本だけ生えてる桜の木の花びらだった。
「きれいに咲いたね」
空を見ながら喋る。最後にあいつとあった場所。そして、たくさんのことがあった場所。
ーー 一年前 ーー
「ここに人が来るのは珍しいね」
ふと桜の木を眺めていたときに後ろで言われた。
「そうなんですね」
そっけなく話していた。自分が帰ろうとしていたとき、あいつは元気に桜の下で笑った。
「またここで会おう!」
ーー 次の日 ーー
「桜のように散れたらな...」
そうボソッと呟いた。
「そうなっちゃうと君を知ってる人が悲しむよ」
「そんなことないでしょ」
うとうとしているあいつがいた。
「ごめん ちょっと寝る」
そう言って桜の下で寝た。上着をかけようとしてあいつに触ったら体温が消えていっていた。
「おい!どうしたんだよ!」
声を荒げて言った。ぜんぜん起きない。やばい。
体温は段々と奪われていき、冷たいあいつが残っていた。
死んだ。その事実で涙が出てきた。恋も桜と散ってしまったようだ。
おわり