テーマ 恋物語
手を伸ばした。そこにはきれいな一本だけ生えてる桜の木の花びらだった。
「きれいに咲いたね」
空を見ながら喋る。最後にあいつとあった場所。そして、たくさんのことがあった場所。
ーー 一年前 ーー
「ここに人が来るのは珍しいね」
ふと桜の木を眺めていたときに後ろで言われた。
「そうなんですね」
そっけなく話していた。自分が帰ろうとしていたとき、あいつは元気に桜の下で笑った。
「またここで会おう!」
ーー 次の日 ーー
「桜のように散れたらな...」
そうボソッと呟いた。
「そうなっちゃうと君を知ってる人が悲しむよ」
「そんなことないでしょ」
うとうとしているあいつがいた。
「ごめん ちょっと寝る」
そう言って桜の下で寝た。上着をかけようとしてあいつに触ったら体温が消えていっていた。
「おい!どうしたんだよ!」
声を荒げて言った。ぜんぜん起きない。やばい。
体温は段々と奪われていき、冷たいあいつが残っていた。
死んだ。その事実で涙が出てきた。恋も桜と散ってしまったようだ。
おわり
5/18/2024, 10:47:14 AM