届いて…
『あと数センチ、ほんの少しだけあなたに届かない。
こんなにも一途でこんなにも努力しているのに。』
こんな在り来りなことしか言えないから
きっとあなたは振り向いてくれないのだろう。
何をすれば、何を言えばあの人に届くのだろう。
あの日の景色
景色とは不思議だ。
ただの海でも気持ちが晴れたり
ただの山に癒されたりする。
それでも、あの日の景色に勝てるものはないと思う。
友達と「暑い」って言いながら少し着崩れした浴衣で
空に上がる花火をただ見つめる。
いつもなら手放せないスマホも
途切れることの無い会話も
その日だけは、もとからそんなものなかったかのように
静まり返っていた。
毎日「青春したい」
なんて言ってた日々が青春なんだと思える瞬間だった。
あの日の景色は、私の中で1番綺麗で1番静かで
1番鮮やかだった
願い事
「もし一つだけ願いが叶うのなら」
なんて、都合のいい話はない。
「なんでも叶えてあげるって言ったら」
なんて、そんなこと出来ないくせにと思ってしまう。
私は捻くれている。
そんなことわかっている。
わかった上で生きている。
でももし本当に一つだけ願いが叶うのなら
私は
純粋な気持ちで流れ星に願い事ができてしまうような
七夕の願い事を「世界平和」と書くような
そんな人になりたいと思う。
きっとその方が、今よりずっと生きやすい。
空恋
僕は空に恋をした。
届くはずもなければ、話すこともできない。
毎日一方的に眺めるだけで 進展なんかしない。
それでも毎日元気をもらえる。
生きる糧になる。
時々雨を降らす君を見ると守りたいと思う。
君のおかげで頑張れているんだ。
だからもう少し
せめてこの雨が止むまでは
空のように綺麗で届かない君に恋をしたい。
波音に耳を澄ませて
朝起きて家を出れば、目を覚ましてと言わんばかりに
波の音が耳に入ってくる。
耳を澄ませば、きこえる音色は波一色になる。
そんな場所で恋をしたい。
夕方、波の音をBGMに、友達と歩きながら帰る。
夏になれば学校帰りにそのまま海に出る。
そんな場所で青春がしたい。
波の色は1つではない。
24時間365日、きっと全く同じ日はないだろう。
だからこそ私はそんな場所で一生を過ごしたいのだ。