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8/2/2024, 10:12:30 AM

病室から今
窓の外を眺めて居る

桃色の雲が空に浮かび
カラスが山に帰るところだ

これからまだ
長い人生が
私にはある…つもりだった

しかし
意外と人生は

思いの外短いらしい

持ってあと半年

そう宣告を受けて
2日目だ

気持ちの整理がつかない

まだ
やりたい事
できずに居る事

そんなこんなが
山ほどあった

まだ

自分のことなのに

受け止めきれない

8/1/2024, 10:32:31 AM

ねえ おねーちゃん

雨だよ

一人暮らしを始めて間もない私の元に

妹が夏休みで遊びに来た

窓ガラスにおでこをくっつけて

外を見ている

あーちゃん 傘は持って来た?

私は妹を あーちゃん と呼ぶ

持って来てない けど カッパはある

あーちゃんは言うと
自分の鞄をガサゴソと物色する

おねーちゃん お菓子作ろう

あーちゃんと久しぶりに
お菓子を作る事になった

ホットケーキミックスにティーバッグ一個分の
紅茶の葉っぱを入れて牛乳と砂糖と卵
ホットケーキミックスの分けたプレーン生地に
今度はバナナも混ぜる

2人で手分けして生地をフライパンで焼く

出来た

紅茶のホットケーキと
バナナのホットケーキ

二人でいただきますを言う

バナナが焦げてるところも美味しい

美味しいねー あーちゃん

あーちゃんは頷きながら夢中になって
パクパクと食べる

牛乳も飲みなよー

私は空になったあーちゃんのコップに牛乳を注ぐ

ゴクリゴクリとあーちゃんは牛乳を飲み干すと

ふー! ご馳走様でした!

と言って笑った

おねーちゃん
明日もし晴れたらさ
二人で映画見に行こうよ

あーちゃんは伸びをする

映画館なら雨でも行こうよ

私はそう言うと
お皿を流し台に持って行き
手早く洗う

明後日ウチに帰るねー

あーちゃんは言うとテレビを付ける

母さんと父さんは元気にしてる?

私が食器を片付けて
あーちゃんの隣に座って訊くと

うるさいよー相変わらず! と あーちゃん

私は元気そうで何より と 苦笑する

明日の予定も決まり

二人でのんびりと
テレビを見ながらおしゃべりが止まらない

今日もお疲れ様でした♪

7/31/2024, 9:07:23 PM

人間関係は作らない主義だ
しかし

話そうと思えば誰とでも話せる

だが話さない

平和で居たいのである

触らぬ神に祟りなしである

私は祟りが怖いので

触らないのである

必要があれば

話をする

その程度が良い

ごちゃごちゃすると

面倒臭い

だから私は
1人がいいのである

7/30/2024, 11:04:30 AM

きっと忘れることはできない

あの夏

僕と妹と父さんと母さんで
キャンプに出かけた

森の中のキャンプ場に着くと
渓谷からの水の音が

サアーッと聞こえる

僕と妹は浮き輪を準備する

その傍らで父さんと母さんは
テントを設置する

かごと網はどこだっけー と妹

まだ車にあるよ と父さん

僕は浮き輪を膨らませると
車に戻って虫かごと網を探した

あった と 振り返ると

気が付かない間に

もう一台の車が僕らの車のすぐ近くで
停まっていた

お姉さんが1人で車から降りて
黙々とテントを張っている

その日はカラスアゲハを取り損ねたけど
サワガニを妹と一緒に取った

夜ご飯のカレーはとても美味しかった

お姉さんのことは忘れていた

翌朝 まだ暗いうちに目が覚めた僕は
テントから出て身震いをした

初夏だというのに

寒いのだ

隣を見やるとお姉さんの居るテントだ



ファスナーを開けてお姉さんがテントから顔を出した

僕と目が合った

とても綺麗な薄茶色の澄んだ瞳だ


おはよう ぼく とお姉さんが言う

おはようございます と僕は挨拶した

寒いね 初夏なのに とお姉さん

僕は頷いた

こっち と
お姉さんが手招きするので

なんですか と僕が聞くと

あったかいもの用意するからおいで
まだ4:30だよ とお姉さんは笑った

小さな折り畳み椅子を広げて用意してくれた

薄いブランケットを纏ったままお姉さんは外に出て
テーブルにカセットコンロを用意すると
火をつけて牛乳を温め
蜂蜜を入れてかき回すとステンレスのコップに
注いで ちょっと熱いよ と言いながら
僕に勧めてくれた

ありがとうございます

と僕はテーブルに置かれたコップを眺めた

お姉さんがもう一つのコップに蜂蜜ホットミルクを
注いで少しふうふうしながら飲んだ

あっつい

お姉さんはそう言うと
自分のブランケットを僕に巻き付けるようにして
僕の身体を温めてくれた

僕がお礼を言うと
お姉さんは

ぼくが風邪ひいちゃったら
お父さんとお母さんに悪いでしょ?と言った

少し冷めた蜂蜜ホットミルクを
ちびちびと飲んだ

甘くてとても美味しい

お姉さん なんで1人でキャンプしてるんですか?

と僕が訊くと
お姉さんは

お友達いないもん

と言った

ぼく 私の友達になってくれる?


お姉さんは言い
少し寂しそうに笑った

おい と
父さんの声が聞こえた

お邪魔してすみません と父さんが歩いて来て言うと

お姉さんは

いえ ちゃんとお礼も言えるし
とても良い子ですね

と僕を褒めた

お姉さんにブランケットを返すと

またね とお互いに手を振った

僕は時々
この日のことをふと思い出す

お姉さんに恋をしているのかもしれないと思ったのは
ずいぶん後になってからだった

あの夏のお姉さんの
寂しげな澄んだ瞳を

僕は忘れられない

7/29/2024, 10:27:05 AM

こねずみのリックは言いました

雨が降ろうが槍が降ろうが
たとえ火の中水の中

嵐が来ようとも
猫に追い回されようとも

僕には使命がある

亡くなった父さんの代わりに

いつかでっかいパンの耳のかけらを

取ってくるんだ!

ここの人間は

パンの耳をよく落としてくれる

だから

誰もが眠りこけた朝方3:00

僕は行かなければならない!

あのテーブルの元へ!

ここの猫はようく僕ら家族を狙うから

気をつけて行くんだ!

あのテーブルの元から
パンの耳のかけらを

取ってくるのは至難の業だ

でも僕は行く

行くんだ!

父さんの名誉のために!

そして弟達と母さんのために!


こねずみのリックはそう言うと

小さな身体をぶるっと震わせて

人や猫の気配を匂いで嗅ぎ分けて
近くに居ないか確認しました


…匂うぞ まだ居る
あの猫め…

こねずみのリックは壁の隙間から
部屋の中の様子を窺います

あの猫…さっきからジッとして動きやしない!

僕らのことを見張ってるのかなぁ

パンの耳があるからいつもより用心深いんだな…

こねずみのリックは眠る事にしました

ひとまず寝るかな

あの猫が離れるまで…

お母さん 明日は冒険に出るから
起こしてね…おやすみ…

おやすみなさいリック

今日もお疲れ様でした

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