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7/8/2024, 11:14:15 AM

街灯に明かりが灯る頃
公園のベンチに1人
サラリーマンが草臥れたスーツの上着をベンチの背に
掛けるとベンチに腰掛け
どこからか買ってきたホットの缶コーヒーを持ち
見るとも無しに公園の草むらにチラッと視線を向け

おーい

と呼びかけた


草むらから黒い猫が て て て と
男の足元に擦り寄ってきた

にゃお

黒い猫が鳴くと
男はベンチに掛けた上着のポケットから

ちくわを取り出し

今日は これな と
猫にちくわを向ける

昼飯の残りだよ
美味いぞ

そう呟くと
ひと齧りサラリーマンがちくわを頬張り
もぐもぐしながら
猫にちくわを再び向けると

猫はちくわを齧って
あっという間にパクパクと食べた

にゃお

それから
黒い猫はまた鳴いた

もうねえぞ

サラリーマンは言うと
冷めた缶コーヒーを飲み干した

次は何がいい

刺身は無理だな

サラリーマンは呟きながら
上着を羽織る

黒い猫はそれを見届けると
スッと闇に溶けるように
草むらに消えた

サラリーマンは今度はタバコに火をつけると
ぷかぷか吸いながら

明日はまた明日考えよう
と鼻を啜り

ベンチから立ち去った

そこには
静かに佇む街灯と
ベンチが残り

サラリーマンは
街の明かりに消えた

7/7/2024, 10:22:13 PM

七夕の夜は曇りか雨の日がほとんどで
僕の子供たちには

織り姫さまと彦星さまがデートをするのを
人に見られたく無いから隠しちゃうんだよ


話して
星を見たがる子供たちを宥めることが通例と
なって居た

この日はどうなんだろうな

会社帰り
スマホをチェックする
天気予報では少し雲が出るらしかった

まあ
こんなもんだよな
いつものこと

そう思うけれど実は僕自身
星が見たかった

空を見上げる

帷が降りて
ビル街の夜空は
雲があるのかどうかも
分からない

電車に乗って帰宅した

ただいま〜
どうだ

望遠鏡 用意してるのか
今日も雲があるんじゃないか〜?

そう言いながら
子供たちの頭をくしゃくしゃと
撫でた

お父さん 今日は雲ないよ!七夕なのに!

星 見えたー!

なんと
子供たちはベガとアルタイルを
見つけて居た

やるじゃないか!

僕も心が躍る

見せてみろ
どれ…

望遠鏡を覗くと
二つの星が輝いて居ることが分かった

今日はお前たちに
会いたかったんだろうな
織り姫さまも彦星さまも

良かったなあ!

子供たちははしゃいで
代わる代わる望遠鏡を覗き込んでいた

奥さんが

星見つけるの大変だったんだから〜
そろそろご飯にしましょ


微笑んでいる

なんだ
キョウカが見つけてくれたのか

そうよ?
ご飯冷めちゃう

…ありがとう
若い頃も二人で星見てたっけな

ー懐かしいよね

うん


そう話しながら
いただきますを言う

家族っていいな

今日は
そんな日だった

7/6/2024, 11:02:32 AM

教室で1番目立って居た
グレた態度で周囲の子を怖がらせてた
さーちゃん

先生もさーちゃんには手をやいていて
いつも一匹狼だったさーちゃん

けど
何故か

さーちゃんはある日
私の名前を呼んで

一緒に帰るぞ!と
命令してきた

さーちゃんはランドセルを
片手で肩に掛けて

私が帰る支度をするのを待って

一緒に帰る事になった

さーちゃんはいつもムスッとした顔だったけれど

この日は何故か上機嫌で
ゆっくりと歩いた

私はさーちゃんの後ろをついて歩いた

今度ねえ
あたしねえ 引っ越しするんだ〜!

そう言って
さーちゃんはニカっと笑った

そっか
元気でね さーちゃん

私は言った

あの教室の空気とか
嫌だったんだろうかな と

ふと今思う

さーちゃん

元気にしてるかな

7/5/2024, 11:05:13 PM

図書館に隣接する
古びたプラネタリウムは
土日ともなるとカップルや親子連れで
いつも賑わっている

僕はよく図書館に通い勉強をしている
高校一年の学生だ

夏休み手前の今から
自由研究の課題を探して居た

プラネタリウムに向かうカップルを見て
1人入りづらい僕は
長く図書館に通うものの
プラネタリウムに入ることは未だ叶わなかった

自由研究の課題という大義名分のもと

今日初めてプラネタリウムを利用する決意をした僕は
学校からの帰り
そのままプラネタリウムに入った

そこには感動があった

僕は初めて
たくさんの星に囲まれる体験を出来たのだ

うわあ…!!マジ星空って綺麗だ!

感動に浸って居て
プラネタリウムを出る頃に

あ!!!自由研究の課題だったのに
ただ観てただけだった…と
気が付いた

何してたんだろう…僕…

まあ…図書館で
星座の図鑑でも見るか…

僕…プラネタリウムで
何してたんだろうか…

その日は
星座に関する図鑑を隣接する図書館で借りて
まだ、星々の感動の余韻の残るうちに
家に帰って

図鑑を読み漁った



自分の部屋の窓から見えた
オリオン座の三つ星に
見惚れた

7/4/2024, 11:04:49 AM

自分は今度、転勤で東京に行く事になって
徐々に支度を整えている

早朝 近所のおじさんが散歩に出るところに出会して
幼少時代から自分のことを
よく見てもらって居た方なので転勤のご挨拶をしようと

声をかけると

おじさん
「おはようさん

なあ、にいちゃんはさ 神様っておると思うか」

自分「居ますよ きっと ところで…」

おじさん「転勤やろ?」

自分「え なんで」

おじさん「お前の神様が言うとったわ」

自分「あ…」

おじさん「まあ元気でな! 笑」

自分「家内ですか…」

おじさん「そうやあ〜 カミサマやぁ〜
大事にせーへんとあかへんで
カミサマだけしか知らんへそくりもあったりしてなあ」

自分「いつも家内共々お世話になって
ありがとうございました おじさんも元気で」

おじさん「わしゃもう年やからな」

自分「またまたー」

おじさん「散歩に行くのに邪魔せんといてー」

自分「あはは すみません また!」

おじさん「ほななぁ」

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