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7/7/2024, 10:22:13 PM

七夕の夜は曇りか雨の日がほとんどで
僕の子供たちには

織り姫さまと彦星さまがデートをするのを
人に見られたく無いから隠しちゃうんだよ


話して
星を見たがる子供たちを宥めることが通例と
なって居た

この日はどうなんだろうな

会社帰り
スマホをチェックする
天気予報では少し雲が出るらしかった

まあ
こんなもんだよな
いつものこと

そう思うけれど実は僕自身
星が見たかった

空を見上げる

帷が降りて
ビル街の夜空は
雲があるのかどうかも
分からない

電車に乗って帰宅した

ただいま〜
どうだ

望遠鏡 用意してるのか
今日も雲があるんじゃないか〜?

そう言いながら
子供たちの頭をくしゃくしゃと
撫でた

お父さん 今日は雲ないよ!七夕なのに!

星 見えたー!

なんと
子供たちはベガとアルタイルを
見つけて居た

やるじゃないか!

僕も心が躍る

見せてみろ
どれ…

望遠鏡を覗くと
二つの星が輝いて居ることが分かった

今日はお前たちに
会いたかったんだろうな
織り姫さまも彦星さまも

良かったなあ!

子供たちははしゃいで
代わる代わる望遠鏡を覗き込んでいた

奥さんが

星見つけるの大変だったんだから〜
そろそろご飯にしましょ


微笑んでいる

なんだ
キョウカが見つけてくれたのか

そうよ?
ご飯冷めちゃう

…ありがとう
若い頃も二人で星見てたっけな

ー懐かしいよね

うん


そう話しながら
いただきますを言う

家族っていいな

今日は
そんな日だった

7/6/2024, 11:02:32 AM

教室で1番目立って居た
グレた態度で周囲の子を怖がらせてた
さーちゃん

先生もさーちゃんには手をやいていて
いつも一匹狼だったさーちゃん

けど
何故か

さーちゃんはある日
私の名前を呼んで

一緒に帰るぞ!と
命令してきた

さーちゃんはランドセルを
片手で肩に掛けて

私が帰る支度をするのを待って

一緒に帰る事になった

さーちゃんはいつもムスッとした顔だったけれど

この日は何故か上機嫌で
ゆっくりと歩いた

私はさーちゃんの後ろをついて歩いた

今度ねえ
あたしねえ 引っ越しするんだ〜!

そう言って
さーちゃんはニカっと笑った

そっか
元気でね さーちゃん

私は言った

あの教室の空気とか
嫌だったんだろうかな と

ふと今思う

さーちゃん

元気にしてるかな

7/5/2024, 11:05:13 PM

図書館に隣接する
古びたプラネタリウムは
土日ともなるとカップルや親子連れで
いつも賑わっている

僕はよく図書館に通い勉強をしている
高校一年の学生だ

夏休み手前の今から
自由研究の課題を探して居た

プラネタリウムに向かうカップルを見て
1人入りづらい僕は
長く図書館に通うものの
プラネタリウムに入ることは未だ叶わなかった

自由研究の課題という大義名分のもと

今日初めてプラネタリウムを利用する決意をした僕は
学校からの帰り
そのままプラネタリウムに入った

そこには感動があった

僕は初めて
たくさんの星に囲まれる体験を出来たのだ

うわあ…!!マジ星空って綺麗だ!

感動に浸って居て
プラネタリウムを出る頃に

あ!!!自由研究の課題だったのに
ただ観てただけだった…と
気が付いた

何してたんだろう…僕…

まあ…図書館で
星座の図鑑でも見るか…

僕…プラネタリウムで
何してたんだろうか…

その日は
星座に関する図鑑を隣接する図書館で借りて
まだ、星々の感動の余韻の残るうちに
家に帰って

図鑑を読み漁った



自分の部屋の窓から見えた
オリオン座の三つ星に
見惚れた

7/4/2024, 11:04:49 AM

自分は今度、転勤で東京に行く事になって
徐々に支度を整えている

早朝 近所のおじさんが散歩に出るところに出会して
幼少時代から自分のことを
よく見てもらって居た方なので転勤のご挨拶をしようと

声をかけると

おじさん
「おはようさん

なあ、にいちゃんはさ 神様っておると思うか」

自分「居ますよ きっと ところで…」

おじさん「転勤やろ?」

自分「え なんで」

おじさん「お前の神様が言うとったわ」

自分「あ…」

おじさん「まあ元気でな! 笑」

自分「家内ですか…」

おじさん「そうやあ〜 カミサマやぁ〜
大事にせーへんとあかへんで
カミサマだけしか知らんへそくりもあったりしてなあ」

自分「いつも家内共々お世話になって
ありがとうございました おじさんも元気で」

おじさん「わしゃもう年やからな」

自分「またまたー」

おじさん「散歩に行くのに邪魔せんといてー」

自分「あはは すみません また!」

おじさん「ほななぁ」

7/3/2024, 11:00:45 PM

路地から抜けて裏通りを歩き
僕は小さな雑居ビルに入った

ここで僕たちは、小さく
何でも屋を営んでいる

ある日
オロオロとした様子のご婦人がやって来た

なんでも
猫を探して欲しいという

写真を数枚見せていただいた

オッドアイの白い美猫だ

誰かに誘拐されたんじゃないか
そんなことも話して居た

探しましょう

そういう事となった

先ずご婦人が住む自宅付近から
公園、学校付近
河原、公園付近の小さな林の中

犬の散歩する人などは見かけるものの
野良猫さえ見つからない

数日探し回り
焦りが出て来た


地図にない道を見つけ

車から降りると
細い道を歩き出した

両隣は閑静な住宅街である

雨が降り出す予報は外れることも無く
予定通り降り出した

僕はカッパを着て
道の隅々までじっと見ながら
ゆっくりと歩く

この道の先に小さな社と大木が見えた

こんな場所もあるんだな
などと見回しながら
社に手を合わせる

大木の上の方から

にゃあ

小さな声がした

あ!!

件のオッドアイの白い猫が
木の上で爪を研いでいた

降りられずに困っているようだったので
僕は車に一旦戻ると
ハシゴと網をとって来て
無事捕まえる事ができた

この社は
ご婦人の自宅から5キロも先の
場所だった

ご婦人は大層喜び
折り詰めまでいただいた

僕は久しぶりに
雑居ビルの真向いにある
こぢんまりとした
喫茶店で
お茶を飲んで
一息落ち着いた

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