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路地から抜けて裏通りを歩き
僕は小さな雑居ビルに入った

ここで僕たちは、小さく
何でも屋を営んでいる

ある日
オロオロとした様子のご婦人がやって来た

なんでも
猫を探して欲しいという

写真を数枚見せていただいた

オッドアイの白い美猫だ

誰かに誘拐されたんじゃないか
そんなことも話して居た

探しましょう

そういう事となった

先ずご婦人が住む自宅付近から
公園、学校付近
河原、公園付近の小さな林の中

犬の散歩する人などは見かけるものの
野良猫さえ見つからない

数日探し回り
焦りが出て来た


地図にない道を見つけ

車から降りると
細い道を歩き出した

両隣は閑静な住宅街である

雨が降り出す予報は外れることも無く
予定通り降り出した

僕はカッパを着て
道の隅々までじっと見ながら
ゆっくりと歩く

この道の先に小さな社と大木が見えた

こんな場所もあるんだな
などと見回しながら
社に手を合わせる

大木の上の方から

にゃあ

小さな声がした

あ!!

件のオッドアイの白い猫が
木の上で爪を研いでいた

降りられずに困っているようだったので
僕は車に一旦戻ると
ハシゴと網をとって来て
無事捕まえる事ができた

この社は
ご婦人の自宅から5キロも先の
場所だった

ご婦人は大層喜び
折り詰めまでいただいた

僕は久しぶりに
雑居ビルの真向いにある
こぢんまりとした
喫茶店で
お茶を飲んで
一息落ち着いた

7/3/2024, 11:00:45 PM