【星明かり】
夜の明るさは
お月様のさじ加減だとばかり思ってた
田舎育ちの幼少期
夜の散歩はお月様のご機嫌を見ながら
あぜ道を歩いた記憶
星明かりとなれば
さらに注意が必要だ
1歩間違えば大惨事
家に帰ってからの大騒動も目に浮かぶ
小学生の頃
はじめて家に遊びに来ようとしたケンタロウが
「ちかみち~っ」と言いながら
自転車もろとも田んぼに消えた日を思い出す
時として
お天道様の下でも
若者は道を誤るのだ
さて星明かり
夜に運動を兼ねてウォーキングすると
いつもの道も別世界
田舎の道には車もそうそう通らない
見えるものが少なくなると
普段なら耳に入らないような音も
良く聞こえる気がする
水の流れる音
虫の鳴き声
遠くを走る車
どこかのテレビ
反響する自分の足音
一際大きな物音に立ち止まる
道路際の茂みをかき分け移動する音
野良猫?野良犬?
いや、人かなぁ?
なんて思ってると
飛び出して来たイノシシが
アスファルトを蹴りながら走り去って行った
腰抜かすかと思った
驚いたのはお互い様なんだろうけど
逃げてくれて良かった
体重以外はとても勝負になりそうもない
...
.......
また話が逸れた
やはり星明かり
迷子になりやすい模様
【影絵】
犬、キツネ、鳩、カニ
子供の頃にやった記憶
影絵の劇なんかも見た
さらに深い世界が広がってるのも
うっすらと知ってる
投影されるシルエットは
そのままの姿だったり
光源との距離で大きさが変わったり
別の物との組み合わせだったり
なんでこれが?って
緻密に計算された騙し絵のような物もあったり
きっと
錆びて動かなくなったものも
切れ味抜群の新品も
影になれば同じハサミだ
立体的な物を平面に落とし込むってのは
随分と情報量が制限されるのかも知れない
映し出されるスクリーンの裏には
別の世界が広がってる
なんて考えると
人を見るのと同じようで
なかなか奥の深い表現だなんて思ってしまう
【物語の始まり】
いやぁ
もうちょっとやそっとじゃ始まらないや
代わりに
終わりを迎える物語がちらほらり
それだけ始まった物も多かったんだろう
でも
物語なんてのは
突然始まったりするから
まだまだ分かりませんぞ
【静かな情熱】
ある程度物心着いた頃から
露骨な感情表現を避けるようになった
人の振り見て
ってのもある
その頃は本を沢山読んでたせいか
ストレートな発言に
気恥しさを覚えたのかも知れない
なるべく感情に振り回されないように
代わりに
奥ゆかしさ
少しひねった言葉
2段階、3段階の返答や
こちらから言うのではなく
相手に言わせる受け答え
そんな言葉遊びを好んだ
だからなのか
未だにその傾向はある
ピンチをピンチと言えない事もあれば
欲しいものを欲しいと言えない事もある
やりたくない事をやる時もあれば
したい事をしない事もある
思いの強さに比例して
その傾向は強くなる
あぁ
むっつり
【遠くの声】
遠くから聞こえる声が
近くから聞こえる声よりも
大きく感じる事がある
モスキート音的なやつじゃなくて
物理的な遠近
心理的な遠近
いや
やっぱり
モスキート音的なやつかも