【パージをめくる】
今もあるのかは分からないけど
子供の頃に
ゲームブックなる物を読み漁った時期がある
短い文章の最後に選択肢があり
この道を右に行くなら37ページの2へ
左へ行くなら102ページの1へ
みたいな感じで進んでいく
そんな本だから
普通と違い
うっかり閉じたり
ページを間違えると
もとの場所に戻るのは難しい
また
バッドエンドに辿り着く事も少なくない
何となく
バッドエンドになりそうな選択肢が予想出来る時もあるけど
そっちの方も読んでみたい
栞でセーブを多用するようになった
脇道をチェックしながら
ハッピーエンドへの道を突き進む
いつものように
選択肢のページに栞を挟み
脇道と思われる方を先に読む
やはりバッドエンドだ
そこの文章を読み終え
余韻に浸ったあと
余裕の表情で
セーブポイントに戻る
もうひとつの選択肢へ
バッドエンド
罠だ
さらに前の選択肢が分岐点だったのだ
もっと前かも知れない
どこで間違えたのか
途方に暮れる
きっと
そもそもの間違いは
栞に頼った慢心だ
純粋に楽しむ事を忘れた小賢しい悪知恵に
作者から届いたメッセージかも知れない
なんて考えた少年の日
今はゲームブックを読む事はなくなったけど
慎重に新しいページをめくる日々
【夏の忘れ物を探しに】
やりたかった事
やりきれなかった事
やるべきだった事
やるはずだった事
多過ぎて
気付けば9月
連日の暑さに
まだまだ秋とは言わせね~よ
【8月31日、午後5時】
暑かった8月も終わりを迎えようとしてる
だけど
その5時に何をしてたかは
すでに思い出せない
寝てたっけ?
間違いなく訪れたその瞬間は
記憶の網をするりと抜けた
お題見るのが先だったら
あるいは違ったかも知れない
意図的な何かも...
そうしたら
その3時間後に
嫁さんから責め立てられ
やり場のない気持ちを
コンクリートの壁にぶつける事も
今
慣れない左手で
文字を書込むことも
同じく
病院を検索する事も
無かったかも知れない
8月31日
右手を負傷の日
【ふたり】
難しいな
そこに自分を入れてしまったら
きっとそれぞれに
AとB
BとC
CとD
DとB
みたいな事になる
同じ言葉
同じ単位でも
同じ組み合わせとは限らない
だから
自分は入れずに蚊帳の外
Aから見たBとC
Aから見たCとD
Aから見たDとB
だいぶ分かりやすいし
同じ組み合わせを共有する相手も出来る
なんてね
【心の中の風景は】
目を閉じて深呼吸
真っ暗な中に
少しずつ浮き上がってくる
柔らかな灯り
記憶
閉ざされた思考に自分を見失わぬよう
記憶の道しるべ