【冬になったら】
今日は何とかやり遂げた
冬の山には
俺ではとてもじゃ無いが太刀打ち出来そうにない
今年の冬も忙しくなりそうだ
年末年始の風情も
年々感じなくなって来た
もうすぐ冬がやって来る
今年は1回くらい積もるかなぁ
もうすぐ冬がやって来る
思えば去年の今時期からは
色んな事が変わった
もうすぐ冬がやって来る
まだ紅葉はほぼ無かった
もうすぐ冬がやって来る
長女の帰省が楽しみだ
もうすぐ冬がやって来る
また一つ歳をとる
もうすぐ冬がやって来る
冬が終われば
また色々と変わってしまうんだろう
もうすぐ冬がやって来る
冬になったら
色んな事が起こるから
今のうちに準備をしておこう
冬になったら
去年とは違う事を一つやってみよう
【はなればなれ】
高校生の時
柔道部に所属していた
それまで経験は無かったし
当時は身体も小さかったけれど
紆余曲折あり
入部する事となった
当時は女子の最も軽い階級に出られるほどの体重であり
男子の試合では史上最軽量の呼び声も高く
同じ階級の試合でも
自分より軽い相手と当った事はなかった
柔よく剛を制す
なんて初心者には縁のない言葉で
投げられ続ける毎日だった
それでも
3年経つ頃にはそれなりに勝利する事も増えたが
何れにしてもパッとしないまま
柔道生活は終わり
思い出は出来たが
物にはならなかったなぁと思っていた
その後
仕事をしだしたある日
膝くらいの高さの所で足を滑らせ
頭からコンクリートの床に落ちそうになった
咄嗟に周りを見回し
物の無い所を探す
見つけた方に体を向ける
このままだと頭から落ちるし
手だけで支える事も受身を取る事も難しそうだ
コンクリートの床に手をつき
滑った足はそのまま地面を蹴り一回転
無事に足から着地する事が出来
初めて投げられ続けた日々が無駄じゃなかったと思った
同時に
咄嗟にその動きが出来る自分に気付き
少し誇らしく思えた
それからしばらくだったある日
今度は乗ってたハシゴが傾く事があった
しかし慌てない
落ち着いて周囲を確認する
今度は一回転なんて出来ない
安全に受身を取れそうな所を見つける
前の経験から不思議なほど落ち着いていた
そして
そのまま落下した
慌てる事も無く
何か抵抗することも無く
穏やかに
そのままに
落下した俺に後輩が慌てて駆け寄る
無抵抗に落下する様に
気を失ったのかと思ったらしい
違うのだ
頭は回っても
体がついて来なかったのだ
自分が一番びっくりした
頭と身体が
はなればなれ
これが老いか
さて
明日は前に挫折した登山リベンジ
今回は自分の老いを受け入れ
装備も整えた
同行者とはなればなれ
それはまだいい
気持ちと身体
離れること無く
最後まで持ってくれぃ
【子猫】
詳しくは憶えてないが
子供の頃
弟は病弱だった
喘息だったり
アレルギーだったり
アトピーだったりで
体調の良くない時が多かったイメージだ
だからなのか
ウチではペットが飼えなかった
母親の実家では犬のチロ(雑種、結構デカい)
を飼っていたから
母親の実家に行った時は
子供達(俺、妹、弟)はチロから離れなかった
チロは聞き分けも良く
接し方を心得ない
我々の遊びにもずっと付き合ってくれた
そんなチロが
一度だけ頑なに言う事を聞かない時があった
散歩の途中に出くわした
まだ小さな捨て猫の前から動かなくなったそうだ
頑として動かず
根負けしたじぃさんが
渋々子猫を拾い上げると
ようやく歩き出したらしい
果たして
母親の実家に白猫のみゅん吉が仲間入りした
子供達は大騒ぎだ
往年は貫禄漂うでっぷり猫となるみゅん吉先生は
チロとは違い
自分が撫でて欲しい時以外は
子供達の手をするりと躱し
ヒョイっとテレビの上に飛び乗ったり
そのまま出掛けたり
ちっとも遊んでくれない
でっぷり猫になってからは触り放題だったけど
そんなみゅん吉先生は
自身を巡るチロの反乱を知ってか知らずか
よく外に居るチロの所に居た
その頃は見慣れて
そういうもんだと思ってたけど
チロとみゅん吉が
一緒にうたた寝する陽だまりの光景は
今思い出すと
胸の奥に何とも言えない感情を届けてくれる
互いに言葉を交わすことは無くとも
あの二人にだけ分かる絆のような物があったように思う
【秋風】
急な冷え込みに
よ~やく替えた冬服に
汗ばむ日々
耐えきれずに上着を脱ぐと
汗ばんだ身体に
ヒンヤリと吹き付ける風が気持ちいい
約2秒
そんな童話あったなぁなんて
想いに浸る事も許されず
再びの着衣を余儀なくされ
一気に下がった体温と
ヒートショックなんて言葉に震える
秋風
【また会いましょう】
使われるのは別れ際だろうか
関係性にもよるだろうが
次がいつかは分からないし
次があるかも分からない
でも
いつか〇〇〇しよう
にも似た
そんな余韻のある言葉が結構好きだ