生粋

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【子猫】


詳しくは憶えてないが

子供の頃

弟は病弱だった

喘息だったり

アレルギーだったり

アトピーだったりで

体調の良くない時が多かったイメージだ


だからなのか

ウチではペットが飼えなかった


母親の実家では犬のチロ(雑種、結構デカい)

を飼っていたから

母親の実家に行った時は

子供達(俺、妹、弟)はチロから離れなかった


チロは聞き分けも良く

接し方を心得ない

我々の遊びにもずっと付き合ってくれた


そんなチロが

一度だけ頑なに言う事を聞かない時があった


散歩の途中に出くわした

まだ小さな捨て猫の前から動かなくなったそうだ

頑として動かず

根負けしたじぃさんが

渋々子猫を拾い上げると

ようやく歩き出したらしい


果たして

母親の実家に白猫のみゅん吉が仲間入りした

子供達は大騒ぎだ

往年は貫禄漂うでっぷり猫となるみゅん吉先生は

チロとは違い

自分が撫でて欲しい時以外は

子供達の手をするりと躱し

ヒョイっとテレビの上に飛び乗ったり

そのまま出掛けたり

ちっとも遊んでくれない

でっぷり猫になってからは触り放題だったけど


そんなみゅん吉先生は

自身を巡るチロの反乱を知ってか知らずか

よく外に居るチロの所に居た

その頃は見慣れて

そういうもんだと思ってたけど


チロとみゅん吉が

一緒にうたた寝する陽だまりの光景は

今思い出すと

胸の奥に何とも言えない感情を届けてくれる

互いに言葉を交わすことは無くとも

あの二人にだけ分かる絆のような物があったように思う

11/15/2024, 3:20:48 PM