生粋

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【はなればなれ】


高校生の時

柔道部に所属していた

それまで経験は無かったし

当時は身体も小さかったけれど

紆余曲折あり

入部する事となった


当時は女子の最も軽い階級に出られるほどの体重であり

男子の試合では史上最軽量の呼び声も高く

同じ階級の試合でも

自分より軽い相手と当った事はなかった


柔よく剛を制す

なんて初心者には縁のない言葉で

投げられ続ける毎日だった

それでも

3年経つ頃にはそれなりに勝利する事も増えたが

何れにしてもパッとしないまま

柔道生活は終わり

思い出は出来たが

物にはならなかったなぁと思っていた


その後

仕事をしだしたある日

膝くらいの高さの所で足を滑らせ

頭からコンクリートの床に落ちそうになった


咄嗟に周りを見回し

物の無い所を探す

見つけた方に体を向ける

このままだと頭から落ちるし

手だけで支える事も受身を取る事も難しそうだ

コンクリートの床に手をつき

滑った足はそのまま地面を蹴り一回転

無事に足から着地する事が出来

初めて投げられ続けた日々が無駄じゃなかったと思った

同時に

咄嗟にその動きが出来る自分に気付き

少し誇らしく思えた


それからしばらくだったある日

今度は乗ってたハシゴが傾く事があった

しかし慌てない

落ち着いて周囲を確認する

今度は一回転なんて出来ない

安全に受身を取れそうな所を見つける

前の経験から不思議なほど落ち着いていた


そして

そのまま落下した

慌てる事も無く

何か抵抗することも無く

穏やかに

そのままに

落下した俺に後輩が慌てて駆け寄る

無抵抗に落下する様に

気を失ったのかと思ったらしい


違うのだ

頭は回っても

体がついて来なかったのだ

自分が一番びっくりした

頭と身体が

はなればなれ

これが老いか


さて

明日は前に挫折した登山リベンジ

今回は自分の老いを受け入れ

装備も整えた

同行者とはなればなれ

それはまだいい

気持ちと身体

離れること無く

最後まで持ってくれぃ

11/16/2024, 3:51:08 PM