【あなたとわたし】
真っ先に
踊るてんとう虫を思い浮かべる辺り
我ながら歳を感じる
わたし
それは良い
いつもの事だ
あなた
これは随分と限定的だ
これを誰にするかでその先がほぼ決ってしまう
流石に知らない人にはならない
君でもアイツでもあの人でも無くあなた
だいぶ絞られてしまう
熟考の末
今回は
好きだった作家さん
だったと言うのは
嫌いになった訳では無く
亡くなってしまったから
最近の事のように思うが
もう20年も前の話だ
もともとは別の大好きな作家さん?が居て
本に限らず
その人の作品を集めていた
その作品の中でちょいちょい名前が出るもんだから
気になって仕方ない
好きな作家さん?に影響を与え
間接的に自分も影響されてるに違いない
必然と思える好奇心から
その人の本を読んで
それは見事にハマった
歳も倍以上離れ
時代背景も文化も生活圏も性格も違う
そんなおっちゃんの紡ぐ
粗野で美しく痛快で儚い言葉達が
妙に心地良く
そこに乗せられた物を
余すことなく理解したいと
イメージを膨らませながら繰り返し読んだ
もう新作を読めないのが残念だ
気付けば自分も
おっちゃんの亡くなった年齢に近づきつつある
今度改めて読み直してみよう
当時の自分を思い出しながら
【柔らかい雨】
霧雨
気のせいか
最近出くわしてない気がする
仕事や釣りなんかしてる時に
これくらいならと
続けてしっかり濡れる
そんな事が減った気がする
釣り行って無いからかなぁ
止むか止まないか
続けるべきか退くべきか
なんて空を見上げるような事も
長らく記憶にない
ここの所はもっとハッキリとした雨
タイミングを見図る事もなく
一目散に撤退を余儀なくされるような
地域で違うのか
地球の変化なのか
自分の変化なのか
【一筋の光】
それはきっと蜘蛛の糸
一筋の
一条の
一縷の
暗闇から
雲の隙間から
差し込むその光は
そこに暗闇が雲があるから
暗さに慣れた目には鮮明に映るその光も
突然
暗闇が雲が晴れたなら
きっと容易く見失ってしまう
暗中模索の最中
不意に現れた蜘蛛の糸
掴むべきかまだ見送るべきか
掴んだら途切れるのか耐えうるのか
光の中へと続く道なのか
心無き者の垂らした釣り糸なのか
選択はいつも難しい
【哀愁を誘う】
我が職場には
会社のイベントを機に発足したボーリング同好会と
週末の仕事帰りなどに温泉でリフレッシュする温泉部がある
私の所属は温泉部
先の人事異動により
温泉部はその半数を失い私を含めて2名となった
2人になっちまったなぁと
落とした肩を叩き合い慰め励まし合う中
背後からただならぬ気配を感じる
ボーリング同好会の長だ
我々よりも大所帯だったボーリング同好会には
温泉部との掛け持ち会員も所属していたが
人事異動の末
「俺なんか1人ですよぅ!」
と悲痛な叫びをあげた
何たる悲劇か
私は互いの威信と存亡をかけ
一緒にボーリングして温泉入ろうぜと
哀愁を誘った
【鏡の中の自分】
家には大きな鏡がない
脱衣場にある鏡も
映るのは証明写真位の範囲くらい
だから俺は知らなかった
はぎ~の家に泊まり
お風呂の大きな鏡を見るまで
いや
うっすらと気付いてはいたけど
目を逸らしてたのかも知れない
それにしても
まさかそこまでとは思って無かった
あんなにも貧相だった自分の身体が
こんなにも逞しく最長していたとは
改めて体重を測ってみる
実に1.5倍
50%増量
破格だ
特に努力した訳では無い
ニコニコと
ご飯を美味しく食べただけだ
人知れず溜め込んだ他の物も有るにはあるが
いやはやここまでとは
我ながら
なんとも
愛らしい