NoName

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9/13/2023, 10:22:29 AM

『 君の中の夜が明けるまで、俺はずっと傍にいるよ』
手が届かないくらい遠く離れていった、僕のたった一人の親友の言葉だ。いや、好きな人かもしれない。初めて家を抜け出した日、彼に引っ張られた手に滲んだ汗は今でも覚えている。家庭環境が似てたから分かり合えて、なんでも話せた。彼との時間は楽しかった。ずっとこのままがいいって思った。
...だけど、それが間違えだったのかもしれない。家を抜け出した日の夜、彼は、あいつは死んだ。死んでしまったんだ。僕への手紙も、許可もなしに。夜明け前の星がちりばめられた空を見ながら思い出す。
「ねえ、希夢?今日は君の命日だよ。僕の中の夜明けはまだ来ないみたい。もう一度君と会って話したいな、まだ僕は君に好きって伝えてきれてないよ。でも、今度会いに逝くからね。待っててよ?」真上にある一等星に向けて放った。僕は希夢に会うために九月一日の夜明け前、飛び降り自殺をした。久しぶりにあった希夢は少し強ばった顔で、後ずさりした。嗚呼、ずっと見たかった希夢のこの表情。どんな顔でも大好きだよ。これからはずっと一緒だよ。大好き。愛してる、離さない。約束したもんね、ずっと傍にいるって♡

8/22/2023, 6:23:35 PM

......リリ...ジ...リリリリリリジ...リリリリリリジ
 太陽がまだでてない時間に目覚まし時計がなり、それを止めて起床する、いつもの生活。...そう、いつもの生活のはずだ。でも、目覚まし時計時計に触れると、ゴツゴツした手触りがした。目覚まし時計の方に目をやると、時計の中身であろう歯車や、針などが、むき出しになっており、その後ろに時計の数字が見えるようになっている。正直言うと、見た目結構キモイ。これは個人の感想なんだけど、寝起き早々色んなものが一気に見ると、ものすごく気持ち悪くなる。僕は落ち着くために1度深呼吸をし、もう一度時計を見た。
「今何時だ?......見にくい。」さっき見たものは幻なんかじゃなく、現実なんだと実感した。外も明るい。
「今日は夕焼けみたいな朝だな。」
僕は寝ぼけているのかもしれない。そう思い、洗面台に足を運んだ。

 洗面台に来た瞬間にまたおかしなことが起きてる。...なんか蛇口の位置変じゃね?普通は洗面器の上に取り付けられいるのが普通だろう。しかし、今僕が目にしているのは、洗面器の中に取り付けられて、本来なら、下向きに取り付けられて はずの蛇口が、上を向いているのだ。
水を出してみれば、弧を描くように水が上から下へと流れる。ちょっといいかも……と思ってしまった。顔を洗いタオルで顔を拭き、リビングに向かった。

 母が朝ごはんの準備をしているようだ。扉を開けようとした瞬間に僕はふと思った。時計の中身がむき出しなら、母も人体模型みたいに中身がむき出しなのでは...?それはさすがに有り得ないか。ドアに手をかけ、開けようとするが、開かない。
「は?」
なんで下がらないの?...上か?
ガチャ
開くんかいっ!! やはりいつもの生活と反対だ。
母がこちらに気づいた。
「あら、今日は早いのね。いつも太陽が沈む時に起きてきちゃうから今日もそうかと思ったけど...さ、早く食べちゃいなさい。」
母は普段と変わらない。
「ねえ、今日なんか変じゃない?」
僕は母に問いかけた。まゆをピクっと動かしたけど、直ぐに
「えぇ?何がよぉ?」
といつもの調子で返してきた
「その、色んなものが反対だったり、逆さまだっ」
バンっ!リビングに大きな音が響く。テレビの中の明るいニュースキャスターの声以外の音が聞こえなくなった。
「それ以上は言わないで」
なんで?僕には理解ができない。分からないから聞いてるのに。何がダメなんだ?
「おかしいだろこの世界。なんで築いてるのに何も言わないの?」
グルリ 視界が一回転した。母は青ざめた顔でこっちを見てる。どうやらなにかに切られたようだ。
「親の言うことはちゃんと聞こうな、春夜くん。」僕の前に立っていたのは、漫画に出てくるジャガーの獣人族だった。しかも武装したやつ。「口に出さなければ殺されなかったのに。残念だ」
ガバッ......夢か、良かった。

8/17/2023, 5:01:32 AM

 私の友人は色んなことを話してくれる。今日あったことや、知り合いから聞いた話、昔話など、たくさんのことを私に話す。その話達はどれも面白く、興味を引かれるものばかり。一緒にいてとても楽しいと感じた。それは友人も同じだろう。話すのが大好きで、人を楽しませたいと思っている友人は、私と話す時はいつも楽しそうで、目がいつも以上に輝いている。
 今日はその友人と買い物をして、カフェに来ている。席に座ると、既に座って待っていた友人がすぐに口を開いた。
「あ、ありがとね〜。瑠奈の分も持ってきてくれるってほんとに神だよ~」
「フフッ、大袈裟だよ。でもありがとう」
彼女は大袈裟にリアクションをとる。でも、それは不快にならないくらいの大袈裟で、嫌な気持ちにはなったことは無い。
「ねえ、ちょっと話聞いてくれる...?」
さっきとは打って変わって、静かに話しかけてきた。瑠奈がこんな風に話すことは滅多にない。何かあったのだろうか?そうおもいながら私は返した。
「……え、うん。どうしたの?何か...嫌な事でもあったの?」
瑠奈は少し考える素振りを見せて、何かを決意したかのように私の方を見た。
「あのね、じつは私...」
余程言い難いのか、詰まっている。
「ここで無理に言わなくてもいいんだよ。もし言いにくいならうちにでも来る...?」
「いや、大丈夫。......瑠奈さ、見ちゃったんだよね。」
え?何を見たの?
「楓真くんの...浮気現場」
一気に空気が重くなった。楓真が?最近おかしいと思っていたけど、まさか浮気だったなんて......「......ハハッ、もー瑠奈ってば。そうやってまた私をからかうつもりなの?冗談はホントやめてよね。」
認めたくなかった。私は彼にあれだけ尽くしたのに......浮気?そんなのありえない。
「ごめん、言うべきなのか迷ったけど、私見ちゃったし、秘密にするのも気が引けてさぁ」
「瑠奈が謝ることないよ!」