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 私の友人は色んなことを話してくれる。今日あったことや、知り合いから聞いた話、昔話など、たくさんのことを私に話す。その話達はどれも面白く、興味を引かれるものばかり。一緒にいてとても楽しいと感じた。それは友人も同じだろう。話すのが大好きで、人を楽しませたいと思っている友人は、私と話す時はいつも楽しそうで、目がいつも以上に輝いている。
 今日はその友人と買い物をして、カフェに来ている。席に座ると、既に座って待っていた友人がすぐに口を開いた。
「あ、ありがとね〜。瑠奈の分も持ってきてくれるってほんとに神だよ~」
「フフッ、大袈裟だよ。でもありがとう」
彼女は大袈裟にリアクションをとる。でも、それは不快にならないくらいの大袈裟で、嫌な気持ちにはなったことは無い。
「ねえ、ちょっと話聞いてくれる...?」
さっきとは打って変わって、静かに話しかけてきた。瑠奈がこんな風に話すことは滅多にない。何かあったのだろうか?そうおもいながら私は返した。
「……え、うん。どうしたの?何か...嫌な事でもあったの?」
瑠奈は少し考える素振りを見せて、何かを決意したかのように私の方を見た。
「あのね、じつは私...」
余程言い難いのか、詰まっている。
「ここで無理に言わなくてもいいんだよ。もし言いにくいならうちにでも来る...?」
「いや、大丈夫。......瑠奈さ、見ちゃったんだよね。」
え?何を見たの?
「楓真くんの...浮気現場」
一気に空気が重くなった。楓真が?最近おかしいと思っていたけど、まさか浮気だったなんて......「......ハハッ、もー瑠奈ってば。そうやってまた私をからかうつもりなの?冗談はホントやめてよね。」
認めたくなかった。私は彼にあれだけ尽くしたのに......浮気?そんなのありえない。
「ごめん、言うべきなのか迷ったけど、私見ちゃったし、秘密にするのも気が引けてさぁ」
「瑠奈が謝ることないよ!」

8/17/2023, 5:01:32 AM