私って世界に一つだけの存在なんですよ。
あなたも、あなたの周りの人も。
すごくないですか?そう考えたら。おもしろくないですか?
家族の中でも、立場が違うと考え方とかも全然違うし、背景も変わってくる。
みんなをつくるものって、同じ場所で同じものに見えても、実はちょっとずつ違うんです。
人間っておもしろいですよね。楽しいですよね。
はあ。楽しそうだね。
だから思うんです。
大事なのは、自分がこうだから相手もこうだろう、じゃなくて、自分と相手は違う考え方をしているかもしれない、と考えてみることじゃないですか?
なんかあったの?
よく分かりましたね。聞いてくれます?実は最近悩んでいることがありまして。…
#世界に一つだけ
恋という感情を知ったとき、私は驚きと違和感でいっぱいでとにかく動揺した。
気づくとあの人のことを考えてて、LINEの通知を気にしてて、もっと知りたいと思ってて。
長時間お話したときはどきどきが止まらなくて、心臓が痛くて、不安になって調べてみた。「胸が痛い どきどきする」と調べても病気やストレスのことばかりでなんだかピンと来ないから、「 恋」と加えて少し恥ずかしくなりながら再検索。恋のどきどきについての説明をいくつか読んで、ナントカ神経とかホルモンとかはよく分からないけど、やっぱりきっとこのせいなんだろうと思った。抑える方法は書いてなかったからどうにもできなくてしばらく困ったけど。
本当に結構痛くて寝れないんだよな。
#胸の鼓動
踊るように生きていたい。
何も考えず、ただ毎日楽しく。
でも実際、踊るのって大変。
音楽に合わせた動きをしないといけない。
音楽に合わせた表情でいないといけない。
ずっと動きっぱなしかと思えば、止まることも求められる。
それは休みではない。綺麗に止まらないといけない。
気をつけるべきことがたくさんで、すごく疲れる。
私は案外、すでに踊るように生きているのかもしれない。
#踊るように
ボーン、ボーン、ボーン、と柱時計から音がした。
時計を確認した。午後3時。分かっていても、音がするとつい顔を上げてしまう。
ついでにコーヒーを一口飲んだ。ちょうどいい温度になっている。もう一口。ここのコーヒーはなんでこんなに美味しいんだろう。すでに2杯目だけれど、やはり飽きない。この喫茶店では毎回同じブレンドコーヒーを、ミルクも砂糖も入れないまま2、3杯飲む。ブラックコーヒーの良さは味変可能なところにもあると思っているのだけれど、なぜかここのコーヒーは味を変えようと思うことがない。
少し味わって、また視線を下に戻し、本の続きを読む。
ボーン、ボーン、ボーン、ボーン、と柱時計から音がした。
午後4時。
本を閉じて、少し落ちつく。あと数口分残っているコーヒーと向き合い、この時間が終わるのを惜しむようにゆっくり飲んだ。
ごちそうさまでした。店主に声をかけ店を出る。途端に現実世界に戻ってきたような感覚になる。さて、今日の夜は何を作ろうかな。
#時を告げる
小さい頃は、海へ行くたびに貝殻を集めていた。
きれいな色の、なるべく欠けてないのを持って帰った。
何になるわけでもなかったけど、好きだった。
桜色と白のグラデーションになっているものは特に好きで、似たようなのを何度でも拾った。
貝殻の根元に穴が空いている貝殻がよくあって、はじめは欠陥品のように思っていた。
けれど、紐を通せばネックレスが簡単に作れるということを知ってからは、これはこれで価値があると思ったから喜んで拾うようになった。
あの貝殻たちは結局どうしたんだっけ。どこかのタイミングですり潰してみたんだっけ。家の前の砂利に捨ててしまったんだっけ。そのまま眺めていたものも、ネックレスにしたものも。
今海へ行ったって、きっと貝殻を拾うことはない。なんだかちょっとさみしいな。