「あいつは妹みたいなやつなんだよ」
彼はそう言っていた。茉莉というその女友達も、彼のことをお兄ちゃんみたいな存在だと言った。
きっと嘘ではないのだろうと思った。少なくとも彼は本当にそう思っているようだった。だから私は、もやもやした気持ちを一旦心の奥に閉じ込めることにした。
2人が気に入っているという喫茶店で、3人でのんびりお話をした。彼の他の友達と同じように接することを常に意識しながら。茉莉も、少し素っ気ない気はしたけど、恋人を紹介されたただの友達のような態度で接してくれていた。
1ヵ月後に迫るバレンタインの話になったとき、茉莉が「彼女さんが妬いちゃうなら、お兄ちゃんにはお菓子あげない方がいい?」と聞いてきた。私に聞いたと言うよりは彼に聞いたような言い方だったが、私が先に「気にしないでいいよ」と答えてしまった。貰える方が嬉しいけど私の気持ちも大事にしたいという対立からか、彼もすぐには答えづらかったように見えた。茉莉は無邪気に喜んでいたし、彼もホッとしたようだった。あぁ、これが正解だ。と私も安心した。
本当は全部、嫌だった。私以外の女の子からお菓子を、特に茉莉から貰うのも、茉莉の聞いてくるタイミングと聞き方の巧妙さも、おふざけのようにしつつも強調するためのあえてのお兄ちゃん呼びも、何も気にならない彼の鈍感さも。
でも私は、これで良いと思った。私は誰からも嫌われないで済むし、彼は幸せだし。これで良いのだと自分に言い聞かせた。
#何でもないフリ
道路に子猫の死体があった。
その道を通る車全てが減速して変な軌道を描くものだからつい注目してしまった。
悲しくなって、車が変な動きするから気づいちゃったじゃん!と車たちを責めたくなった。
でも、通る車全てが変な動きをしてしまうような世の中で良かった。とも思った。
#子猫
意味がないことなんてない、とよく言うけど
勘違いしちゃいけない。
意味のないことはない。
きっと何かがどこかで糧になる時がくる。
望み薄な受験だって、夜更かしネットサーフィンだって、全く意味ないことはない。
けど、意味の大きさは全く違うんじゃないかな。
意味のないことはないけれど、
意味の小さいことはあるんだよ。
ネットサーフィンもきっと、いつか役にはたつけれど。
今は寝ることの方が、大きな意味があるんじゃないか。
言葉を都合よく解釈せず、よく考えてみるんだ。
じゃあ、僕はもう寝るよ。
おやすみなさい。
#意味がないこと
ずっと友達だよ。
ずっと大好きだよ。
一生一緒にいようね。
人はすぐ、永遠を願う。永遠を約束しようとする。
けれど、その永遠が本当になることはきっとほとんどない。
昔は全部信じていた。
年を重ね、経験を重ね、だんだん気づいてしまった。
言っているときは永遠だと思っている。というよりは、思っていたい。
でも、言ったからといって守らなければと思う人はそこまでいないみたい。
約束だとは思っていない。ただ、過ぎ行くその瞬間の、願いでしかない。
私は覚えているのに。永遠に忘れないのに。
#永遠に
流した涙の理由が自分でもわからなかった。
怒っている様子がなくなって安心したからか、
我慢していた寂しい気持ちが出てきたからか、
相手に我慢してもらってばかりな自分の不甲斐なさからか。
B5の紙に書き出したって整理しきれないな。
#涙の理由
参考:Lovers/sumika