永遠に変わらないものってあるのかなぁ。
お父さんもお母さんも歳をとった。
じゃれあって育ったきょうだいは、今では人の親だ。
大好きだったおばあちゃんももうこの世にはいない。
親友だと言い合っていた学校の友だちとも、いつしか疎遠になってしまった。
自分だって10歳だった時と大人になった今では違うし。
昨日と今日だって気付かないだけで変化してるんだろう。
恐竜の世界は1億6000万年も続いてたんだって。
1億6000万年なんて気が遠くなるような年月だけど、それでも長い時が過ぎて恐竜はもういない。
恐竜の世界を想像するとどこか懐かしいような気になるのは、その頃あたしも恐竜だったのかな。
首が長くてものすごく大きいプラキオサウルスだったらいいなぁ。
高層ビルも道路もない、広大な大地をドシンドシンと歩く気分はどんなだっただろう?
バンパイヤだったら永遠に変わらない?
エドガーは今もどこかで旅をしながら生きてるのかな。
仲間と共にバラを散らしながら…
でも永遠に生きるなんて、やっぱり嫌だ。
変わりゆくことは救いでもあるよ。
今日はどんな変化があるんだろう。
ささやかなことに思いを馳せて過ごしてみてもいいかもしれない。
しんどい夜だった。
友人の華々しい活躍ぶりを実家の母に話したら
「うちには誰一人そんな人はいないねぇ」とため息をつかれた。
いつものセリフなんだけど、もう長年の口グセみたいなもんだけど。
でもやっぱりこころに針がちくりと刺さる。
針が増え続けたトラウマの塊は、今では剣山のようになってしまった。
この夜は眩暈で寝付なくて、ベッドに横たわったまま、自分の存在を保つのに必死だったよ。
浴びてきたのがそんな言葉たちじゃなかったら。
私は自分の存在も、他人の存在も、
もっとこころから本当に祝えたのかもしれない。
月も星もない真夜中、ざぁっと音がしてきた。
暗闇に確かな雨の存在感。
ひととき、ぼうっとその存在感と一体になって
私はようやく眠りに落ちた。
中秋の満月の光を浴びて、霧が晴れるように穏やかな気持ちになった。しんしんと静かに夜の世界を照らしている。体の中まで光が通って透きとおっていくみたいだ。余計なものはもう要らない。自分の人生を大事に生きよう。やりたいことを夢中で楽しくやってさ、自分なりに積み上げていけたらそれでいいじゃない?