「別に俺だってファッションとか詳しくねーしよっぽどじゃなきゃ別になんも言わねぇけどさ、さすがにそれはよっぽどだと思うぜ、サトル」
「……………え? どこが?」
「嘘だろ!? その反応なる!? サトル、おま! 鏡見てみ! 鏡をよく見て、そのセーターを着た自分の姿をじっくり見てみ!」
「……別に普通ですが」
「うっそだろ!? お前のセンスどうなってんの!? つかそのセーターどこで買ったんだよ!? なにその柄!? 猫!? 猫が目からビーム出してる!?!???」
「ふふ、かわいいでしょう」
「猫馬鹿にも程があるだろ! いや100歩譲ってその猫がもっとデフォルメされたイラストならワンチャン俺もかわいいと思う可能性あるけど、たぶんあんまないけど、それ実写じゃん!! わけわかんねぇよ!」
「ジンゴさんの分もありますよ。ネットで安くなってたんですよ。ほら、お揃い」
「俺の分もあるの!? 揃っちゃうの!? うわー気持ちは嬉しいけどお揃いするなら俺の意思も反映してくれ!! 俺はそれ着こなせる自信がない! つーかなんでお前は平然とそれを着られるんだ!?」
「……だって、結局どんな服着てようと顔面は変わんなくないですか?」
「ファーーー!! うるせぇ顔面ホストがよ!!!」
出演:「サトルクエスチョン」より 仁吾 未来(ジンゴ ミライ)、問間 覚(トイマ サトル)
20241124.NO.106「セーター」
これは夢だ。
色彩はあっても音はない。
感情はあっても感覚はない。
真っ赤な空。
腕時計の針は放課後を指している。
ものすごい勢いで昇っていく窓ガラスたち。──違う。
俺が落ちてるんだ。
真っ赤な地面。
時計の針は動かない。
──
────
──────
目が覚める。
「また、この夢……」
頭を抱えながら脇のデジタル時計を見やる。まだ深夜と言っていい時間が、ひとつ進んだ。
出演:「サトルクエスチョン」より 仁吾未来(ジンゴ ミライ)
20241123.NO.105「落ちていく」
(下書きとして一時保存)
20241122.NO.104「夫婦」
人生
「どうすればいいの?」
「ジンゴさー、今年の冬休みどうする? みんなでどっか行かね?」
「ウケるまだ8月じゃん。気ぃ早すぎじゃね?」
「だってさー、お前の家キビしいじゃん? 結局去年も一昨年も遊べなかったしさ。今年で高校も最後だし。色々思い出作っときたいじゃん」
そう言って栄《エイ》は俺の目を見て笑う。
クーラーの効いた教室の中。
それぞれがそれぞれの会話に夢中になる昼休み。
その温度が、音が、少しだけ遠くなる。
「そだなー。考えとくわ」
そう返した俺は、うまく笑えていただろうか。
……もし。もし、ここで全て話せば、俺の未来は変わるだろうか。なんて、一瞬浮かんだ熱はすぐにクーラーに冷やされ常温にかえる。
言えるわけない。言ってどうする。第一、栄は一般人だ。信じてもらえるかもわからない。そんなことを話して栄にどんな重荷を背負わせる気だ。
俺は未来が視える、とか。
秋には俺は死んでいる、なんて。
出演:「サトルクエスチョン」より 福井 栄(フクイ エイ)、仁吾 未来(ジンゴ ミライ)
20241114.NO.103「冬になったら」「たくさんの思い出」