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20241116.NO.102「はなればなれ」
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20241115.NO.101「また会いましょう」「秋風」
そんなことないとアイツは言うが、それこそそんなことねェだろと毎回思う。
「弱い者いじめが1番好きだ」なンて言葉を気持ち悪いくらいにいい笑顔で憚らず言うどォしようもねェヤツだが──きっと同じくらい、いやそれ以上に。アイツは強者との戦いを求めている。
自分じゃわかンねェのか?
魔法の使えねェアイツが魔法使いと戦ってるときの顔。
真っ青な瞳をキラキラ、いやギラギラと輝かせて。
口もとを不気味に、けれど楽しそうに歪ませて──
そう、楽しそうだ。
20241112.NO.100「スリル」
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魔人・翼竜族。
彼らを象徴する、背中から生える一対の黒い皮翼。
この翼はもともと飛ぶためのものではない。
魔力受容器にして、マナ捕集やマナ感知の補助器。つまり──魔人を魔人たらしめる、最大の特徴。
「き、さま……! 俺の、翼を……! 魔王様からの、贈り物を……!!」
足をつたってドクドクと溜まっていく血。
発生源がわからないくらい全身に走る激痛。
そして──血溜まりに溺れていく、一対の真っ黒な翼。
それを斬られたとわかったのは、自分の血の中に膝をついてからだった。
「許さない、許さない──!! ただで済むと、思うな──!」
ぐるりと傾く視界に映る人影。
こちらの様子を伺う女と、それを守るように一歩前に出る男。男の左手には緑色の魔法陣が輝き、右手に持った剣と敵意は真っ直ぐこちらに向けられている。
「ルイン! ねえ、何があったの!?」
バタバタと部屋から出てきた魔王が悲鳴をあげる。
それと同時に真っ暗な夜が明け、山の端が白み始める。一瞬の攻防の跡が鮮明になる。
──そうだ、あの女だ。あの女に、俺の翼は──。なにに、変えても──。
魔王の叫び声ももう聞こえない。ルイテンの意識はぼやけて血溜まりの底に沈んでいった。
出演:「ライラプス王国記」より ルイテン、ロキ
20241111.NO.99「飛べない翼」
「菅原ぁ。月見酒しよやぁ」
「えー……。言ってんじゃん、俺ほとんど酒飲めねぇよ。てかもう時期過ぎてね」
「ええやん、こんなんただの口実なんだから。一応さっき道端でススキ拾ってきたし。団子も買ぉたし」
「準備バッチリじゃん」
「な、飲も飲も。自分団子食うとるだけでええからさ」
「てかなんでお月見ってススキなんだろうな」
「どしたん、急に」
「いや、なんとなく……。この時期ならもっと派手なやつあるじゃん。なんだっけ、あの、赤いやつとか」
「彼岸花? あれは縁起悪いからなぁ。ススキって縁起ええんやで。魔除けにも依代にもなるし。ススキさまさまや」
「そーなん? でも地味じゃね」
「お供え物は地味とかそういう話ちゃうやろ。それに一面にススキが生えてるのとか、けっこう綺麗やと思うけどなぁ」
「へー……。見たことねぇわ」
「うっそホンマ!? 都会っ子怖いわぁ。奈良の方にススキの有名スポットあるで。明日行くか?」
「京都だって都会じゃん。てか奈良はいいよ。わざわざ草見に行くのわけわかんなくね」
「うっわ、信じられへんわ! 自分絶対人生損しとるで! 行こ行こ! 『よし我は尾花がうれを秋とは言はむ』って1000年以上前から言われとるんやで! 絶対見た方がええって!」
「あーわかったわかった、行きます行かせてください。……お前意外とそういうとこあるよな」
「なにが?」
「うぅん、自覚なしかぁ〜」
出演:真田睦規(さなだ むつき)、菅原ハヤテ(かんばら はやて)
20241110.NO.98「ススキ」