人さがし

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2/25/2024, 4:24:18 PM

─物憂げな空─

チャイムが鳴り、

クラスメイトが教室から出ていく。

僕も例外ではなく、廊下へ出る。

いつも一緒に帰る友達は、今日は休み。

一人で歩いて玄関に向かう。

靴を履き替え、また歩く。

駐輪場で自分の自転車を探し、鍵を回す。

いつもの見慣れた道を、ただ走る。

鼻歌なんか歌ったりして。

いつもと変わらない日々、

いつもと変わらない光景、

いつもと変わらない行動。

唯一変わっていたものは、

玄関前で見た、物憂げな空だけだった。

2/10/2024, 12:57:19 PM

─誰もがみんな─

世界には、様々な生き物が居る。

当たり前のように息を吸って、吐く。

仕事をしたり、学校へ行ったり、

逆に何もしなかったり。

でも、それだけで生きていられる。

幸せでいられる。

誰もがみんな、“当たり前”を信じて、今日を生きる。

だがそれが、僕には辛かった。

勿論、息を吸って吐くことなら、最初からできていた。

しかし、大人になるに連れ周りの“当たり前”が分からなくなった。

そんな僕は、「邪魔」「消えて」「うざい」と言われていった。

なんで、そんなことを言うんだ。僕は悪くないだろう。

世界が悪いんだろう。世界が可笑しいんだろう。

“勝手に”当たり前を作って、“勝手に”それを押し付けて、

“勝手に”それが出来ないと見捨てて、“勝手に”罵倒の言葉を浴びせる。

そんな世界、可笑しいだろう?苦しいだろう?

生きたくないと、思っても仕方ないだろう?

本当、生きていたくない。

それが叶わないのなら、息をしているだけで、褒めておくれ。

生きてるだけで、うんと沢山、褒めてくれ。

2/4/2024, 8:11:47 AM

─1000年先も─

綺麗な夕日を見た。

それは鮮やかなオレンジで、

吐息が出る程キラキラと輝いていた。

この世界には、僕のまだ見ぬ景色が広がっている。

全部を見たいなんて願望は言わない。

ただ、その沢山の美しい景色が100年、

否1000年先も続いて行くことを願う。

誰かがそれを見て泣いて、

誰かがそれを見て喜んで、

誰かがそれを見て笑って。

そんな小さなことで、誰かが幸せになれるのなら。

僕はそれ以外、何も望まないよ。

1/27/2024, 4:07:07 PM

─優しさ─

「僕にはその優しさが辛いんだよ!!」

お前が珍しく大声をあげた。

今までそんなことなかったのにという驚きと、言われた悲しみが襲ってきた。

きっかけは多分俺とお前の違いだろう。

いつもいじめのようなことをされていたお前と、いつも笑う俺。

お前へのいじめを俺は止めていた。お前を助けるために。

でも意味がなかった。あまりのショックに、思ったことが声に出てしまった。

「…ふざけんなよ。今まで助けてやったのは誰だよ!」

「君が勝手にしたんだろう?!そのせいで、僕は…!!」

そう言ってお前は、俺のせいでいじめがひどくなったと話した。

「なんでお前みたいな陰キャが、陽キャの君と絡んでるんだって」

お前は泣きながら、痛くて辛くて苦しかったと話した。

「…俺の優しさ、無駄だったんだな。ごめんな。」


君はそう言って、去っていった。

「…ごめん、ごめんよぉ。」

俺のエゴなのに。君に見下されてるように感じて。

もういっそのこと楽になろうって、関係を終わらせて。

君の優しさに縋ってたのは、僕なのに。

「どうしたら、良かったの…?」

君の去った教室には、僕の声だけが木霊した。

1/23/2024, 11:25:04 AM

─こんな夢を見た─

最近、友達が変な夢を見るようになったらしい。

内容は女の子が電柱から覗いて、ずっと見てくるらしい。

その女の子は、昔近所に住んでいた年下の子で、

よく遊んでいて妹のような存在だったと友達は話す。

どうやら火事で亡くなってしまったらしい。

もうかれこれ1ヶ月近く続いているのだ、と友達は言った。

そんなある日、いつもと違う夢を見たらしい。

いつもは電柱から覗いている女の子が目の前に来て、

何故か持っていた包丁で刺されてしまったらしい。

そして自分の目の前であることを言った。

何を言ったのか気になったが、忘れてしまったらしい。



数日後、夢を話した友達に殺されかけた。

凶器は夢でみた女の子の持っていた包丁とそっくりで。

近くに通り掛かった人に通報され、友達は捕まった。

夢の中で女の子がした行動全てが、捕まった友達の動きにそっくりだった。

夢の中で女の子が言った言葉の後に、僕は刺された。

「おにーさんね、おともだちにころされるよ。こんなふうにね。」

警察に捕まって、パトカーに乗るとき、友達は言った。

『夢の女が居なければ、お前を殺せたのにな。』

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