人さがし

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11/22/2023, 1:05:56 PM

─夫婦─

近所に住む、仲の良い夫婦。

見た目的には60歳ぐらいに見えた。

いつも登校の時、挨拶をしてくれる。

二人とも優しく、目元には人柄の良さからか、

笑わなくてもしわが出来ていた。

そんな二人が昨日、殺された。

夜中に行われた事件で、発見に時間がかかったそうだ。

しかもその現場の状況が読めてないらしい。

何故なら夫の方は、腹を複数刺されており、妻の方は、首を吊った状態で発見。

警察は、妻が夫を何らかの理由で殺し、

その後妻は首吊り自殺をしたのだと考えている。

それを近隣住民だった僕は聞いていた。

まぁ、盗み聞きだけど。

凶器は見つかっていないらしく、犯人の指紋も残っていない。

警察は手詰まりの状態で、半分諦めているように見えた。



…よかったよ、諦めてくれて。

凶器も、指紋もバレていない。

内心ドキドキしてたけど、やっぱりバレなかった。

聞き込みとかしてきたら、自主するつもりだったんだけど…。

聞かれなかったし、まあいっか。この事件は終わり。

…さぁ、次に行こうか。次は誰かな…?

11/21/2023, 9:05:19 PM

─どうすればいいの?─

『…ねぇ、先生。私はどうすればいいの?』

ある一人の生徒からの相談。

ちょうど受験の期間だから、それの相談だと思っていた。

でもその相談内容は、

とても受験とは反対なものだった。

その内容は、俺のクラスの女子生徒が自殺したことについて。

一昨日、起きた自殺。原因は虐めだったらしい。

らしいと言うのも、俺は虐めを知らなかったから。

でも、それは無理のない話だった。

相談してきた生徒が言うには、

『その子の家に落書きとか、学校外で暴力とか』らしい。

学校外だとすると、気付くわけがない。

でもそれだと無責任すぎるのは知っている。

だから生徒の話を聞き続けた。

相談してきた生徒は、自殺した生徒の親友らしい。

虐めのことは知っていたらしく、

それでも何もできなかった自分はどうしたらいいのか。

それを聞かれた時、何も答えられなかった。

嫌、どう返すのが正しいのか、わからなかった。

どう返しても、生徒を傷つけることになる。

結局何も返せずに、相談は終わった。

俺は、どうすることが正しかったのだろうか…。

11/11/2023, 3:03:07 PM

─飛べない翼─

ある家に女の子が生まれた。

その子はとても可愛く、親もその子をとても愛していた。

だが、親はその子を愛しすぎたあまり、

女の子は段々と辛くなっていった。

親がその子に執着するのには理由があった。

親には昔、もう一人子供が居た。

本当は元気な体で生まれる筈だった。

しかしその子は病気を患ってしまい、

三歳という若さで亡くなってしまった。

その為、健康で生まれてきた女の子を、

とても甘やかし、危険なことには近付けず、

ずっと家と言う檻に閉じ込めていた。

甘やかされて育った女の子は、翼があるのに飛び方が分からず、

ただ檻で愛されるだけの鳥になっていた。

女の子には飛べない翼ではなく、

“飛べる筈だった翼”しか、ついていなかった。

11/2/2023, 8:08:59 PM

─眠りにつく前に─

やぁ、こんばんは。

眠れなかったんだね。

じゃあ眠りにつく前に、良いことを教えてあげよう。

ほら、月を見て。

どう?綺麗でしょ?

今日はねぇ、満月なんだ。

綺麗な色だし、眩しいでしょ。

星が見えなくなるぐらい、輝いてるね。

夜ってさ、暗いからか分かんないけど、

怖いってイメージ持たれること多いでしょ?

でもね、確かに怖くて危ないけど、とっても綺麗なんだ。

今見えてる月みたいに、輝いてるものがたくさん見れる。

それは人によって違うんだ。

今言った月もそうだけど、他にもたくさんある。

君はどう?何が輝いて見える?

君の目には、何が映る?

11/1/2023, 10:30:30 PM

─永遠に─

彼女がふと溢した言葉に、僕は耳を疑った。

その言葉とは『永遠に眠っていたい』だった。

なんで僕が驚いたのか。

それは彼女の性格にあった。

彼女はいつも明るく、楽しそうだった。

友達も多く、勉強もできる。

スポーツは少し苦手だが、

そのかわりにピアノがとても上手だった。

親も優しく、僕からは幸せそうに見えた。

羨ましくて、憎くなるほど。

そのな彼女が、僕と一緒に帰りたいと言った。

その時に、言った言葉が、

『永遠に眠っていたい』だった。

僕はその言葉に、何も返せなかった。

その後、彼女は自殺した。

海に落ちて、眠るようになくなった。

あの時僕は、何と返すのが正しかったのだろう。

答えは今も、分からないまま。

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