人さがし

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11/2/2023, 8:08:59 PM

─眠りにつく前に─

やぁ、こんばんは。

眠れなかったんだね。

じゃあ眠りにつく前に、良いことを教えてあげよう。

ほら、月を見て。

どう?綺麗でしょ?

今日はねぇ、満月なんだ。

綺麗な色だし、眩しいでしょ。

星が見えなくなるぐらい、輝いてるね。

夜ってさ、暗いからか分かんないけど、

怖いってイメージ持たれること多いでしょ?

でもね、確かに怖くて危ないけど、とっても綺麗なんだ。

今見えてる月みたいに、輝いてるものがたくさん見れる。

それは人によって違うんだ。

今言った月もそうだけど、他にもたくさんある。

君はどう?何が輝いて見える?

君の目には、何が映る?

11/1/2023, 10:30:30 PM

─永遠に─

彼女がふと溢した言葉に、僕は耳を疑った。

その言葉とは『永遠に眠っていたい』だった。

なんで僕が驚いたのか。

それは彼女の性格にあった。

彼女はいつも明るく、楽しそうだった。

友達も多く、勉強もできる。

スポーツは少し苦手だが、

そのかわりにピアノがとても上手だった。

親も優しく、僕からは幸せそうに見えた。

羨ましくて、憎くなるほど。

そのな彼女が、僕と一緒に帰りたいと言った。

その時に、言った言葉が、

『永遠に眠っていたい』だった。

僕はその言葉に、何も返せなかった。

その後、彼女は自殺した。

海に落ちて、眠るようになくなった。

あの時僕は、何と返すのが正しかったのだろう。

答えは今も、分からないまま。

10/29/2023, 5:38:41 PM

─もう一つの物語─

私は昔から二つの記憶があった。

その二つは、正反対のような記憶だった。

今の記憶は、とても幸せだ。

愛されて、楽しくて、幸せで。

不満の感じることがない生活を送っている。

でも、もう一つの記憶。

それがとても悲惨だった。

同級生には虐められ、親には無視され、

恋人には裏切られ、挙句の果てには川へ落ちて自殺。

本当に最悪で、辛くて、苦しい生活。

それを知っていて、私は今の記憶でよかったと思っている。

もし、幸せな記憶を持ったまま、最悪な人生を迎えたら。

想像するだけで、苦しくて辛くなった。

だからもう、忘れよう。前の記憶は忘れ、今の幸せに身を預け。

もう一つの物語を今の私で楽しもう。

もう辛くない。前のように、失敗はしない。

10/24/2023, 11:56:10 AM

─行かないで─

君の背中が遠くなる。

その背中に対してかける言葉は、いくら考えても思い付かなかった。

「さよなら」や「またいつか」は違う。

「行ってらっしゃい」もきっと違う。

そんなことを考えていたら、君はもう見えなくなりそうだった。

嗚呼、何故私からは全て離れて行くのだろう。

君だって、離そうとしなくても、手をすり抜けて離れて行く。

もう、そんな思いはしたくない。

考えている内に、私は走り出していた。

君の背中に抱き付いて。

「行かないで…。」と言った。

その声は思ったよりも小さく、掠れていた。

子供のように、駄々をこねて。何回も同じ言葉を繰り返す。

分かっている。この言葉が君を苦しめることは。

でも、今は。今だけは、許してほしい。

人生を賭けても大切にしたい存在を、そう簡単に離したくないから。

それほど君が、大切で、大好きで、愛おしいから。


今回は戦争をテーマに書いてみました。
大好きな人が死ぬかもしれない、それが怖いのは人間誰しもでしょう。
愛しているから、大好きだから、その分苦しい。
貴方はそんな状況、耐えられますか?

10/19/2023, 10:40:49 PM

─すれ違い─

俺たち、何処ですれ違ったのかな。

え?最初から?はは、そうかもな。

まぁ、これでも笑い会って、慰め会って、

ここまで関係をズリズリと引き摺ってたからな。

すれ違いが起きてもおかしくないか。

…ん?どした?

金木犀…。確かに、いい匂いするな。

確か前の秋も、一緒に見てたっけ。

あ、やっぱり?そうだよな。

たのしかったなぁ…。

…え、マジで言ってる?

今年も、俺と行ってくれるのか?

…はは、俺って本当に、幸せだな。

じゃあまた明日。約束、忘れんなよ。

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