よしだ

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4/8/2024, 6:58:45 PM

頭が痛い。
体が冷たい。
遠くで誰かが叫んでいる。
ぼやける目に映るは一面の赤。
水道管が破裂して
水浸しになったコンクリートが熱を奪う。
死ぬのかな、と思った。
死ねなそうだな、とも思った。
すごく眠かったので寝た。


目が覚めた。常夜灯だけが照らす部屋。暗い。
視界の端に点滴の管が見える。5パックたぁ豪勢な。
心電図のやつ地味に痒いな。
そこ迄考えて、ア、死に損なったんだな、と理解した。
ので、ナースコールを押した。
バタバタと走ってくる足音。
名前を聞かれて呼ばれて、
何か色々確認されている。
諸々が終わった時にはもう朝だった。


眠いな。と眠りながら思う。
左手が暖かい。
うっすらと目を開けると、
祈るように両手で比較的無事な左手を握りしめながら
俯く君がいた。座ったまま寝てんなこれ。
泣いた跡がある。
ちょっと可哀想なことをしてしまったかもしれない、
と思った。

でもこの身はなんだか分からないけど
死のうとしても死ねなそうなくらい頑丈だし、
これ迄と同じようにこれからも
死に損ない続けると思うので、
いい加減慣れてくれないかなぁとも思う。

そういえば前にこれを友人に言ったら
すごいドン引きされたのだった。
その後色々言われたけど、結局よくわからなかった。
ので、昔からよく言われるし、恐らく何かしらが
「普通じゃない」事だったんだろうと理解したんだけど、
もしかしたら違うのかな。今度聞いてみよ。

「そんなんじゃいつか愛想尽かされるぞお前……」

そんなことも言ってたっけ?
おかしいの。
自分のものに愛想つかされるも何も無いじゃんね。
ずっと一緒だったんだから、
これからもずっと一緒なのは当然の事では……?

でも普通の人からすると違うみたいなので、
家族にでもなっておけば大丈夫でしょ。
なんか知らんけど家族だと別になるみたいだし。
ほんと変な人たちだよね、普通の人?って。


起きないな、こいつ。
思いついたらすぐやりたいんだけどな。
手がぬくいから、起こすか悩む。
結局ぬくぬくが勝った。
もう一緒に住んでるんだし、
起きたら養子縁組でもしよ。うん、それがいい。


「これからも、ずっと」

4/7/2024, 10:19:32 AM

夕陽って、
見つけたと思ったら
あっという間に海に沈んでしまう。

びっくりするくらい早いから、
沈んでいく太陽を見ると

本当に地球って回ってるんだなぁとか、
回転早いなぁとか、しみじみ思う。

教科書を体感してるなーって。


「沈む夕日」

4/6/2024, 3:21:21 PM

日向がいい感じだったから、
和室でだらだらしていた。

そうしたらいつの間にか部屋にいた君が
私の腹に乗り上げて来た。

居心地の良い場所を見つけて香箱座り。
陽の光に照らされた毛並みがきらきら。

思わず撫でる。今日も素敵な手触り。
そうしたら、眩しそうにしていた目が開いた。


宝石みたいな淡い緑に輝く瞳。
綺麗だなァと見つめる。

目が合った。

君の瞳は力ある瞳だから
目が合うとピリピリするんだ。
それが少し苦手。

でもあんまり美しいものだから
ついつい見てしまって
気がついた君と目が合っちゃうんだ。

やっぱりピリッとしたから
ゆっくりまばたきして
目を逸らした。

君もゆっくりまばたきして
目をそらす。

でもあんまり綺麗だから
また性懲りもなく見つめてしまう。

そして目が合う。
繰り返し。


「君の目を見つめると」

4/6/2024, 2:19:35 AM

冬だ。冬の夜だ。冬の夜がやって来た。

空気は氷のように透き通り、甘く冷たい匂いがする。

星々は氷柱のように垂れ下がり

眠る街を見下ろしていた。

私は春を待つ土の丘に寝そべって

白い息を吐きながらそれを見上げていた。

目が覚める迄は春だった。

目が覚める迄は夏だった。

目が覚める迄は秋だった。

目が覚めたので冬が来た。

春に恋する冬告精がうたっている。

春告に会えば死んでしまうくせに。

もう一度目を閉じた。

次に目を開けた時、

夏に別れた

春の君に会えたらいいのにと思って。


「星空の下で」

4/4/2024, 6:57:38 PM

“それでいいよ”

なんか妥協に聞こえる。

それ“が”いい

じゃなくて

それ“で(もまあ)”いいよ

に聞こえるからかもしれない。
ホラ、副音声みたいなさ
ただの妄想だけど。


少し変えて

“それだけでいいの”

なんか、センチメンタルな感じ。
他を切り捨てても
“それ”だけは捨てられない
持っていたい

持ってないなら
欲しくて欲しくて
手に入んなかったら
死んじゃいそう。

多分白い花に例えられるような
儚げ美人か、
死亡フラグがたってる
母親が言う。
間違いないね、ウン。


じゃあ、このセリフの前に
諭すようなこととか
脅して強要するようなセリフが
入っていたらどうだろう。

悔しげに歯噛みする子と相対する
なんかダウナーな保護者枠?おじさん

“○○のことは諦めろ”
“分かるだろう、あれは手遅れだ”

うわー、嫌だァ〜!
多分部分的な正論言ってるよ
状況なんもわかんないけど。
反発するけど口では勝てないのよね、
こういうの。
で、納得いかない顔しながらも頷くと

“それでいい”

っておじさんも頷いて立ち去る
そんな感じ。
でもこれ絶対暴走して
突き進むよね、説得失敗!

ンー、だいぶ印象変わるな〜
妥協する側からさせる側へ大変身。


ん、あれ、もうこんな時間?
そろそろ帰ろっか。
何食べる?なんか買って帰る?

なんでもいいが1番困るんよ。
じゃあもう適当に肉と野菜炒めたのと
白いご飯でいい?

うん、これの返事に
“それでいい”
が来るとアレだね、
1番困るのは“なんでもいい”だけど
1番なんかモヤッとするのは
“それでいい”かもしんないわ。

「それでいい」

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