よしだ

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4/6/2024, 3:21:21 PM

日向がいい感じだったから、
和室でだらだらしていた。

そうしたらいつの間にか部屋にいた君が
私の腹に乗り上げて来た。

居心地の良い場所を見つけて香箱座り。
陽の光に照らされた毛並みがきらきら。

思わず撫でる。今日も素敵な手触り。
そうしたら、眩しそうにしていた目が開いた。


宝石みたいな淡い緑に輝く瞳。
綺麗だなァと見つめる。

目が合った。

君の瞳は力ある瞳だから
目が合うとピリピリするんだ。
それが少し苦手。

でもあんまり美しいものだから
ついつい見てしまって
気がついた君と目が合っちゃうんだ。

やっぱりピリッとしたから
ゆっくりまばたきして
目を逸らした。

君もゆっくりまばたきして
目をそらす。

でもあんまり綺麗だから
また性懲りもなく見つめてしまう。

そして目が合う。
繰り返し。


「君の目を見つめると」

4/6/2024, 2:19:35 AM

冬だ。冬の夜だ。冬の夜がやって来た。

空気は氷のように透き通り、甘く冷たい匂いがする。

星々は氷柱のように垂れ下がり

眠る街を見下ろしていた。

私は春を待つ土の丘に寝そべって

白い息を吐きながらそれを見上げていた。

目が覚める迄は春だった。

目が覚める迄は夏だった。

目が覚める迄は秋だった。

目が覚めたので冬が来た。

春に恋する冬告精がうたっている。

春告に会えば死んでしまうくせに。

もう一度目を閉じた。

次に目を開けた時、

夏に別れた

春の君に会えたらいいのにと思って。


「星空の下で」

4/4/2024, 6:57:38 PM

“それでいいよ”

なんか妥協に聞こえる。

それ“が”いい

じゃなくて

それ“で(もまあ)”いいよ

に聞こえるからかもしれない。
ホラ、副音声みたいなさ
ただの妄想だけど。


少し変えて

“それだけでいいの”

なんか、センチメンタルな感じ。
他を切り捨てても
“それ”だけは捨てられない
持っていたい

持ってないなら
欲しくて欲しくて
手に入んなかったら
死んじゃいそう。

多分白い花に例えられるような
儚げ美人か、
死亡フラグがたってる
母親が言う。
間違いないね、ウン。


じゃあ、このセリフの前に
諭すようなこととか
脅して強要するようなセリフが
入っていたらどうだろう。

悔しげに歯噛みする子と相対する
なんかダウナーな保護者枠?おじさん

“○○のことは諦めろ”
“分かるだろう、あれは手遅れだ”

うわー、嫌だァ〜!
多分部分的な正論言ってるよ
状況なんもわかんないけど。
反発するけど口では勝てないのよね、
こういうの。
で、納得いかない顔しながらも頷くと

“それでいい”

っておじさんも頷いて立ち去る
そんな感じ。
でもこれ絶対暴走して
突き進むよね、説得失敗!

ンー、だいぶ印象変わるな〜
妥協する側からさせる側へ大変身。


ん、あれ、もうこんな時間?
そろそろ帰ろっか。
何食べる?なんか買って帰る?

なんでもいいが1番困るんよ。
じゃあもう適当に肉と野菜炒めたのと
白いご飯でいい?

うん、これの返事に
“それでいい”
が来るとアレだね、
1番困るのは“なんでもいい”だけど
1番なんかモヤッとするのは
“それでいい”かもしんないわ。

「それでいい」

4/3/2024, 12:25:29 PM

どうしてこんな目に合わなくちゃならんのか

どうしてこんな苦しみを抱えなくちゃならんのだ

どうしてこんなふうに生まれてしまったのか

どうしてこんな
優しい家族に面倒かけなければ
俺は生きていかれんのだ

どうしてこんな有様で
俺はまだ生きている?

どうしてこんな生だと云うのに
俺は“生きる”ことにしがみつく

どうして
どうして
どうして

どうしたら此処から抜け出せる

どうしたら痛みに喘ぎ怯えなくて済む

どうしたら汗みずくで飛び起きる夜が無くなる

どうしたら家族は“お荷物”を抱えなくて済む

どうしたら俺は家族へ縋ることを辞められる!


俺は弱い
生きることがこんなにも苦しい癖に
死ぬことすら出来ぬ
こんなにも恵まれているのに
みっともなく喚くばかりだ

未練を捨てられない
情を捨てられない
希望を捨てられない!!

恨めしい
恨めしいよ
この世も、病も、弱い身体も、弱い心も
なにより、其れを良しとするもう一人の俺が

布団で背を丸めて
頭だけが動いている

俺は業突く張りだから
あれもこれも全部欲しいし
幾ら諭されたって
愚かな真似を辞められない

けれど、けれども
一番欲しいものは
もしもひとつだけ、
それをお前にやろうと言われたのなら

あの優しい人達を
どうか幸せにして欲しいと
他力本願に願うんだろう

そう願う己に酔いながら


「1つだけ」

4/2/2024, 5:43:28 PM

あんまり沢山持っていても大変だけれど
少なすぎても寂しい

あるとあたたかくて安心で
なくすと寒くて心が怪我をする

あればあるほど良いというものではない
けれど
全く無いのはありすぎるより断然不健康だ

出来ればそのラベルを貼った箱の中に
自分自身も入れられるといい

大切にされたことがなければ
大切にすることは難しく

大切にされるには
大切にした方が簡単だ

簡単なようで難しい
そういうようにこの頃は思う

「大切なもの」

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