よしだ

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3/23/2024, 3:37:27 PM

彼女はどこか浮世離れしていて
半分透けてるんじゃないか、なんて
思うくらい静かで気配が薄いのに、
そこに確かに居たと、
その影だけがずっと残っている。

いつの間にかそこにいて
外国のひとだったから
何を言っても伝わらなかったし、
彼女が何を思っているのかも
幼いぼくにはさっぱり分からなかった。

だけど居なくなってから
ふと思い出すたびに
彼女は本当の本当に
そとのくにのひとだったんじゃないかと、
そう思うのだ。

日光を羽衣のようにまとう
黄金の毛並み。
それがよく似合うのに、
でもその羽衣は貴女のものではないのだ。

どこでもない場所に
静かな視線を向ける貴女は
宇宙人か、それとも異界のひとか、

そういう妄想をする。
貴女が土の下に埋まった
ずっとあとに。

その時、脳裏に浮かぶ貴女は
レースのカーテン越しに見るように朧気で、
だけど光にあてられて
濃い影を残している。

そんな姿だけが、
ぼくの記憶に残っている。


「特別な存在」

3/22/2024, 5:35:20 PM

頭の中の神さまに怯えて
そのくせ陰で
嫌だ嫌だ、こんなのおかしいと喚いて
土下座するように伏して泣く
私を指さして嘲笑う私がいる

「バカみたい」

3/21/2024, 4:01:34 PM

あんたが飽きたら別れよう
わたしが飽きたら別れよう

それがくるまで
ときがくるまで

手ェつないでさ
共にゆこうか

あんたが死んだらわたしも死ぬよ
わたしが死んだらあんたも死んで

共にゆくなら
寂しくないさ

月のない夜
くらい夜
二人ぼっちで
どこへゆこうか

「二人ぼっち」

3/20/2024, 5:29:53 PM

まるで
羊水のような
あたたかい
ぬるま湯の中に浮かんでいる

目醒めのときは近いのだ
生誕のときは近いのだ

私は、もうすぐ
冷たい外に
身一つで

予感がするから
このあたたかくて
優しい海にもう少しだけ
守られていたい
できるだけ長く
浸っていたい

薄ぼんやりとした
意識の中で

どうか、
この夢が醒めるまでは、と
微睡みの中の
幼い祈り

私はまだ
瞳の開かぬ
赤子でいたいのだ

「夢が醒める前に」

3/19/2024, 6:17:06 PM

あなたが好きだと気がついた
胸が高鳴る
鼓動が早まる

付き合うことになった
胸が高鳴る
頬が熱い

他の人と親しげにしているのを見た
胸が高鳴る
鼓動がうるさい

あの人あなたのお姉さんだったのね
胸が高鳴る
恥ずかしくて顔を隠した

プロポーズされた
胸が高鳴る
幸せだ

マリッジ・ブルーみたい
胸が高鳴る
不安なの

結婚した
胸が高鳴る
どんな未来が待ってるのかな


胸が高鳴る
胸が高鳴る
胸が高鳴る


浮気されてた
胸が高鳴る
血の気が下がる

言い訳
逆ギレ
嘘つき
裏切り

お別れした
胸は静かで
晴れやかだった


「胸が高鳴る」
あまりこういう風には使わない言葉だけど、プラスじゃない胸の高鳴りを書いてみたかったので

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