maria

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7/27/2023, 2:08:36 PM

「神様が舞い降りてきて、こう言った」


靄のかかった半月の夜

欠けた月の隙間から

淡い光が生まれでて

ゆっくりと近づいて

人の形をとると地上へ降り立った。

ふわりと髪をなびかせる女神様は

白い衣をまといヴィーナを抱え

私のすることをじっと見ておられる。

この女神様は命令はしない、諭しもしない、

突き放しもしない、非難も叱責もせず

ただずっと黙って傍におわす。




ある日 女神様が私にお声を下さった。

「わが娘よ。望みがあれば申せ」


私は頭を垂れて合掌し 

「私が最も欲しているものを。我が神」

と申し上げた。



女神様が続けてこう仰った。

「では、努力に見合った成果を与えよう。」


それこそが私が最も欲しているものだった。



この世に

努力に見合った成果以上の幸せが

あるだろうか。それこそが神の祝福である。






お題
「神様が舞い降りてきて、こう言った。」



7/26/2023, 12:44:13 PM

「誰かのためになるならば」


こうして

ほら ここに 

迷って 戸惑って 孤独で

寒さに凍えて 丸くなるわたしが

毎夜 恥を晒して

血を吐くような思いで

なんとか どうにか 文章を紡ぎ

投稿後の足跡をみる勇気もなく 

倒れるように1日を終える。



こんなわたしが

あなたの自信になるならば

誰かのためになるならば

今宵も こうして 

喉から血を吐き

また謳おう。



    「誰かのためになるならば」

7/25/2023, 12:51:57 PM

「鳥かご」


私の前に 男性が立ち止まる。

格子越しにこちらを見て。

「早く飛べる方法を教えて」という。

私は羽を広げてみせ

止まり木の上で羽ばたく。

「わかったよ。ありがとう」

男性は笑顔で立ち去った。

好きな女の子に見せるのだろう。



またある時 女性が立ち止まる。

格子に手をかけて身を乗り出して。

「美しいしぐさを教えて」と。

私は虹色の尾羽を広げ

背筋を伸ばして立って見せる。

「わかったわ。ありがとう」

女性は頬を染めて立ち去った。

好きな男の子にアピールするのだろう。


ある時には歌い方を

そしてある時には踊り方を

人々は私の元を訪れて

教えを請うて そして去っていった。


私の鳥かごの前には

次々とさまざまな人々が立ち止まり

消えてゆく。

「せんせい」なんて、呼ばれても

所詮は鳥かごの鳥。


カゴから出られず

誰かが話しかけてくれるのを

一生かけて 待つばかり。
 



そんな鳥かごから鳥かごへ

自由に選んで 学んで育って

美しくなってゆく。

         それがあなた。


             「鳥かご」

7/24/2023, 3:02:40 PM

「友情」



自分はあなたに嫌われてもいいから

あなたが周囲の人から頼られるような

あなたが周囲の人から愛されるような

そんな人でいてほしいから

私に関わりのないところで

幸せになって欲しいと願い

誰も言わないような厳しいことを

あえて面と向かって言う。




そうまでしてもなぜか

私から離れない人とは

友情がつづく。

友情とはふしぎなものだ。


          「友情」


7/23/2023, 12:53:54 PM

「花咲いて」


花を咲かせることは
自分が人から見られたり
攻撃されても大丈夫な準備ができた合図
他の花の花粉を受け入れて
自分は花弁を落とし
実を結び種を残す覚悟だの
哀れで可憐で気高い花嫁。


そういうわけで

わたしの花は
咲く準備は当分整わない


         「花咲いて」

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